エル・ファニングが新たな挑戦を語る 『選ばなかったみち』 インタビュー映像公開

エル・ファニングが語る、限界への挑戦

 2月25日に公開される『選ばなかったみち』に出演しているエル・ファニングのインタビュー映像が公開された。

 第70回ベルリン映画祭コンペティション部門に出品された本作は、『耳に残るは君の歌声』『ジンジャーの朝 ~さよなら、わたしが愛した世界』などで知られるイギリスの映画監督サリー・ポッターの最新作。監督の弟が若年性認知症と診断され、監督自身が介護で寄り添った経験をもとに自らが脚本も手がけた。『DUNE/デューン 砂の惑星』や『ノーカントリー』のハビエル・バルデムがレオ役、『ネオン・デーモン』『マレフィセント』シリーズのファニングが娘モリーを演じ、父娘役で初共演を果たした。そのほか、『マイ・ライフ、マイ・ファミリー』のローラ・リニー、『エターナルズ』のサルマ・ハエックらが脇を固める。

 本作が描くのは、ニューヨークのアパートにひとりで暮らす父レオ(ハビエル・バルデム)を娘モリー(エル・ファニング)が病院へ連れていくために彼を訪ねるある朝から始まる24時間。ひとりでは生活もままならないレオが幻想として見る自身がかつて選ばなかった人生と、モリーが直面する厳しい現実が交錯しながら進んでいく。記者として忙しい日々を送るモリーは、この日、大事なプレゼンに参加することになっているが、レオが行く先々で面倒を起こし予定通りにいかず、思わず苛立ちを募らせる。それでも父に対して強い愛情を持ち寄り添うことを諦めない、どこか陽気さと強い信念を感じさせるキャラクターだ。

映画『選ばなかったみち』エル・ファニング インタビュー映像

 ファニングは、主演作『ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界』でタッグを組んだことのあるポッター監督から出演オファーを受け即答した後で脚本を読み、「とても難しい役だった。私はチャレンジが好きだから魅力的だった」と振り返る。さらに、「私はとても小さなころから役者を始めて、想像したり別の人になりきることを理解していた。いつも想像力の限界に挑戦していたの。自分が誰か別の人になったつもりで演じていた」と、演じる上での考え方について明かす。そんな考えに至ったのは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『500ページの夢の束』などに出演する実姉ダコタ・ファニングの影響が大きいようで、「姉とよく複雑なキャラクターの演技をして遊んだわ。複雑なキャラになったつもりで、家でちょっとしたシーンを2人だけで演じたりして。この世界の他の人になりきることは、私たちにとっては普通のことだった」と振り返る。

 一方で、ファニング自身はこれまで身近な人の介護をした経験がなく、「私は(レオのような)認知症の人と直接関わったことはない。脚本をもらう前からサリーとは話をしていたけど、私にはこの経験が必要だということが、サリーにはわかっていたんだとう」と語る。一方で演じる上では、「モリーは介護のプロではないのだから、必要な状況に出くわした時に瞬時にそれに反応することが重要だと考えたの」と明かす。父レオを演じたバルデムと父娘という関係の築き方については、「この役をリアルにするためにはふたりの絆が大事だってね。だから私たちはオープンで緊張感のある関係を模索した」と語る。具体的には「絆と親密さと愛情とお互いを思いやる気持ち、そういう雰囲気を作ろうとしたの。それで私たちはじっくり話し合う時間を持った」と語り、人間同士のコミュニケーションそのものを重視したことを明かす。

 逆に、演技の面においては「ハビエルと私は、自分たちのシーンに関して前もってそれほどたくさん話すことを望まなかった。モリーとレオの関係はかけがえのない繊細なものだからこそ、普段やるほどのリハーサルもしていない。私がしなければならなかったことの多くがハビエルへの反応で、モリーがその瞬間に感じることは何かと考えていたの」と振り返っている。

■公開情報
『選ばなかったみち』
2月25日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
監督・脚本:サリー・ポッター
出演:ハビエル・バルデム、エル・ファニング、ローラ・リニー、サルマ・ハエック
配給:ショウゲート
2020年/イギリス・アメリカ/英語/86分/カラー/スコープ(シネスコ)/5.1ch/原題:The Roads Not Taken/日本語字幕:稲田嵯裕里/G
(c)BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE AND AP (MOLLY) LTD. 2020

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