『マクロスF』から『呪術廻戦』まで 中村悠一が唯一無二の声優として成長し続ける所以

中村悠一、声優として成長し続ける所以

 2月20日、声優の中村悠一が誕生日を迎える。中村といえば、言わずと知れた「超」がつく人気声優だ。『おおきく振りかぶって』の阿部隆也、『CLANNAD』シリーズの岡崎朋也、『マクロスF』の早乙女アルト、『氷菓』の折木奉太郎、『東京喰種トーキョーグール』の四方蓮示、『おそ松さん』の松野カラ松、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』のブルーノ・ブチャラティ……と、多くの作品のメインキャラクターを演じており、代表作を選ぶ方が難しい。

 その活躍ぶりは凄まじく、10年以上前からほぼ毎クール何かしらの作品に出演。声を聞かないシーズンがないと言っても過言ではない。昨今でも『呪術廻戦』の五条悟、『フルーツバスケット』の草摩紫呉、『うらみちお兄さん』の熊谷みつ夫、『見える子ちゃん』の遠野善と、ほとんどの話題作に携わっている。

 こうして振り返ってみると、中村が演じているキャラクターは実に幅広い。早乙女アルトのような熱血漢な主人公も、五条悟や草摩紫呉のような飄々とした影のキーパーソンも、熊谷みつ夫のような真面目(?)なキャラも演じており、まさに変幻自在だ。とはいえ、声を聞けば「中村悠一だ」とわかるように埋もれることもない、唯一無二の声色も持ち合わせている。

 中村が幅広い演技ができるのも、長年の経験とスキルあってこそ。だが、それだけではないのが声優・中村悠一だ。個人的にグッとくるのは、キャラクターに命を吹き込む声優という仕事に対するスタンス。過去、中村はインタビューで「僕は演じる際には常に『一人の人間を演じなきゃいけない』と思っているので、キャラクターの何が魅力かを考えないようにしています」、「魅力というのは“第三者視点”なものだと思います。その人物になることにおいては“余分な情報”なのでは…とも考えており、あまり気にしないで演じます」、「例えば自分に置き換えた場合、自分の魅力を聞かれてすんなりしゃべれる人も少ないと思う(笑)」と答えていたことがあった ※1。おっしゃる通りすぎる。

 様々なインタビューで演じるキャラクターの魅力や好きなところを質問されると「難しい」と答えたり、回答に余白を付けていたりするのはこのスタンスからなのだろうか。と同時に、耳障りの良い言葉を述べるのではなく、多くの作品を経て導き出したであろうオリジナルの回答を答える実直さにも脱帽する。そして、「このキャクターはこうである」と決めつけていないからこそ、幅広い演技ができているのではないだろうか。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる