『チャーリーとチョコレート工場』に掛けられた魔法 ティム・バートン作品に共通の題材も

『チャーリーとチョコレート工場』を徹底解説

 次は、本作に関わった制作陣の面々について触れていきたい。

 バートンは長年親交があったり盟友的存在である人物をクリエイティブな作業のメンバーに選ぶことが多い人物だ。本作の音楽を手掛けたダニー・エルフマンは、バートンが彼の在籍していたバンド「オインゴ・ボインゴ」のファンであったことからオファーを受け、以降ティム・バートン作品の常連として数々の名曲を生み出している。『チャーリーとチョコレート工場』では、まるでおもちゃ箱を開けたようなキッチュな曲からヒッピーなテイストを感じる曲まで、マルチなセンスの光る仕事ぶりを見せている。

 また、公私ともに親交の深いジョニー・デップも同様に彼の作品におけるディーヴァ――男性なのでキング、とでもいおうか――のような存在としてそのスター性をいかんなく発揮している。映画の爆発的なヒットとともにアイコニックな存在となったウィリー・ウォンカは、彼の俳優としての存在感も相まって忘れがたいキャラクターとなっている部分も大きいはずだ。

 2001年から10年以上ティムとパートナー関係にあったヘレナ・ボナム=カーターも、2007年作『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』でジョニーと共演するなど氏の手掛けた作品に度々出演。本作では家族を支えながら成長していく息子を見守るチャーリーの母親・バケット夫人役を演じた。2014年の破局後も、バートンとは良きビジネスパートナーとして互いに刺激を与えあう仲だという。

 本作は監督のパーソナルな部分に根差すテーマで、かつクリエイティブ面で信頼を置くメンバーを集めて制作されている。彼が生み出す唯一無二の世界観に足を踏み入れるにはうってつけの作品であり、そして時が経てもなお色あせない名作として楽しめる。奇抜ながらもティム・バートン作品における伝統を踏んだ、普遍的な魅力のある作品といえよう。

 そんな『チャーリーとチョコレート工場』でおなじみ、ウォンカ工場長の若かりし頃を描いた前日譚が鋭意制作中だ。青年期のウォンカを演じるのは、『DUNE/デューン 砂の惑星』『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』などに出演し、今もっとも旬な俳優の1人であるティモシー・シャラメ。監督は『パディントン』シリーズのポール・キングが担当する。シャラメは今回のウォンカ役で初の歌やダンスを披露するという情報もあり、ファンの期待値も急上昇している。

 映画『Wonka(原題)』は2023年3月17日に全米公開。前作の魅力を味わいつつ、今から日本で観られる日を心待ちにしたい。

■放送情報
『チャーリーとチョコレート工場』
日本テレビ系にて、2月18日(金)21:00〜22:54放送
監督:ティム・バートン
音楽:ダニー・エルフマン
原作:ロアルド・ダール
出演:ジョニー・デップ、フレディー・ハイモア、ヘレナ・ボナム=カーター、ディープ・ロイ
(c)2005 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (c)2005 Theobald Film Productions LLP

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