『カムカム』“無愛想な男”本郷奏多を川栄李奈が一刀両断 ひなたの運命を動かす男が登場
「大月ひなた、18歳です」
ミス条映コンテストに出場したひなた(川栄李奈)は自己紹介で上がってしまい、うまく言葉が継げない。そこに司会が「大月さんはどうしてこのコンテストに応募しようと思ったんですか?」と助け船を出す。「大好きやからです。時代劇も、映画村も」と満面の笑顔で答えるひなた。続く演技審査では、茶屋の娘おすずに扮して、悪漢に襲われて侍に助けられる役どころを演じる。回転焼き屋の娘ひなたの本領発揮といきたいところだ。
『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第74話。舞台袖で出番を待ちながら、ひなたはライバルたちの演技を見守る。茶屋の娘が悪漢に連れ去られたようとしたその時、さっそうと登場した若侍はひなたの見知った顔だった。忘れもしない両親の留守で店番をしていたあの日、回転焼きを買いに来て初対面のひなたに難癖をつけ、毒舌を吐いて帰ったあの男だ。「なんであの感じの悪い奴が侍の役を……」と絶句するひなた。目の前にいるのは強くて優しい侍のはずなのに、ひなたが知る無愛想な男(本郷奏多)はそれとは対極の嫌なヤツ。店先で浴びせられた言葉が脳裏によみがえって、セリフも演技も全然頭に入ってこない。そうしている間に、ひなたの出番がやってくる。
棗黍之丞シリーズと『ガラスの仮面』のおかげか、なんとか演技らしきものはできた。着物で顔を隠す奥ゆかしい所作は、単に嫌いな相手の顔を見たくないだけだったが。しかし、ギリギリのところで保たれていたひなたの自制心は、男と眼を合わせているうちに決壊してしまう。侍のセリフが聞こえるたびに、ひなたの頭に男の無礼な仕打ちが浮かんでくる。「回転焼き、新しいの焼いて」「もしかして焼いたことないの?」「ふーん、引き算はできるんだ」。そして、ついに我慢の限界に達する。「ついてきてくれるか」と愛の告白をする侍、もとい無愛想な男を睨みつけると、「誰がお前なんかについていくか!」と叫び、相手の刀を抜いて一刀両断、斬り捨てた。