「オッパと呼びたい」から「ヌナと呼ばれたい」へ 韓国ラブストーリーは年上女性時代?
もう5年以上前になるか、後にも先にも一度だけ、ファンミーティング(通称ペンミ)というものに参加したことがある。それは、頼りになる年下男子を演じさせたら世界一(!?)、『君の声が聞こえる』や『ロマンスは別冊付録』などの年下男役で世の中の女性たちを魅了した俳優イ・ジョンソクのものだったのだが、それから数年、すっかり時代は年上女性のもの、というか、最近の韓国のラブストーリーはほとんどがそうなのではないかというくらい女性が年上のドラマが増えた。
2010年頃には、ドラマにハマると必ず言ってみたい言葉の一つが「オッパ〜」だった。オッパとは、女性が年上の男性(特に親密な関係にある場合が多く、年上ではなくても自分の恋人などはそう呼ぶのだと教えられた)にかける言葉で、当時の恋愛ドラマではまあ「オッパ、オッパ」と連発されていた。
それがどうだろう、最近あまり聞かなくなった気がする。特にメインの二人のシーンでは。それに変わってよく聞くようになったのが「ヌナ」だ。こっちは男性が年上の女性を呼ぶときに使う。
『太陽の末裔』では、付き合う前のドキドキが一番楽しい時期のユ・シジン(ソン・ジュンギ)がカン・モヨン(ソン・ヘギョ)と初めて映画館にデートにいき、お互いの年齢を確認しようとする。どっちが年上なんだろう……と気になっているのだ。先に彼のカルテで年齢を知っていたモヨンが「オッパ」と呼びかけると「俺がオッパなんだ……」と嬉しさを噛みしめるようにシジンがつぶやく。するとすぐに「いいえ、私がヌナだよ」と言い、え〜っと言うシーンがあってすごく印象的だった。
これはおそらく年上だとしても1、2歳で、特に年上女性のラブストーリーを強調したドラマではなかったが、考えてみると、この数年ラブストーリーとして人気の高かったものはほとんどといっていいくらい“ヌナもの”じゃないだろうか。『ボーイフレンド』『ロマンスは別冊付録』、あの『星から来たあなた』だって本来完全にそうだ。ただ、宇宙人でそもそも何百年と生きているというぶっ飛んだ設定だからそんなことは関係なくなっているけれど。
『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』なんてタイトルにヌナを入れ込んでいる。観ている方の感覚も、「オッパと呼びたい」から「ヌナと呼ばれたい」に変わっているかもしれない。