『カムカムエヴリバディ』深津絵里の年齢を感じさせない演技を分析 演出の力も体感

『カムカム』深津絵里の年齢を感じない演技力

 そんな深津を彩る環境や時代設定、そして演出も深津を若く見せるのに大きな魔法をかけているように思う。まず時代設定だが、深津が本格的に登場したのが1962年の大阪。レトロモダンと称されるカラフルな色使いが施されるポップで華やかな町並みとファッションに包まれた世界だ。特に、るいが大阪に上阪したときは、大都会の大阪に対する胸の高鳴りを、『シェルブールの雨傘』のようなミュージカル映画の世界で表現していて、主人公だけでなく視聴者に対してファンタジーの世界へ誘うかのような演出が施されていた。まるで50年代のテレビドラマの世界に現代のティーンエイジャーが入り込んでしまう映画『カラー・オブ・ハート』を彷彿とさせる。

 その世界に入り込んだことで、視聴者もフィクションを観る頭にアップデートされ、実年齢があまり気にならない魔法にかけられる。ヘアスタイルも相まって、深津のルックスが60年代の世界観に見事にマッチしていることも大きいだろう。

 そして、村田雄浩と濱田マリが演じる、るいがお世話になる竹村クリーニング店の夫婦がまた良い。村田は61歳で、濱田は53歳と深津に近い年齢であるが、初デートや初給料など、るいを初めてづくしの娘のように心配したり優しく見守る素ぶりが、役柄の年齢差を自然に見せている。

 衣装や演出、共演者とのかけ合いなど様々な要因が、実年齢と役柄のギャップを払拭することに一役買っているのだろう。でも何より、深津の昔と変わらぬ透明感と高い演技力が一番の要因であることは間違いなさそうだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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