『犬王』初解禁シーンを収録した新映像公開 古川日出男&野木亜紀子のコメントも到着
初夏公開の湯浅政明監督による劇場アニメーション『犬王』の新特報映像が公開された。
本作は、室町の知られざるポップスター・犬王から生まれた物語を、監督・湯浅×キャラクター原案・松本大洋×脚本・野木亜紀子のタッグで描くミュージカル・アニメーション。古川日出男による『平家物語 犬王の巻』を原作に、室町時代に人々を熱狂させた実在の能楽師・犬王と、そのバディである琵琶法師・友魚の友情を描く。犬王役を女王蜂のアヴちゃん、バディの友魚役を森山未來が担当。そのほか、柄本佑、津田健次郎、松重豊らが出演する。
新たな特報映像では、これまでの特報とは異なる新カットが登場。タイトルコールは映画監督でナレーターとしても活躍する塚本晋也が務めた。新カットでは異形の能楽師・犬王と、盲目の琵琶法師・友魚が琵琶の音色と力強い歌声で民衆に熱狂を巻き起こす様子、神秘的な面の奥に意味深に光る目が描かれている。この特報映像は、1月22日より劇場でも上映される。
また、本作のムビチケカードが1月22日より全国で発売スタート。その特典として、松本大洋による描き下ろしアートのクリアファイルが決定した。ムビチケカードのデザインには、琵琶の音色に乗って楽しげに踊る能楽師・犬王と、琵琶法師・友魚の姿が切り取られ、特典は、まるで絵巻物のようなタッチで二人を取り巻く人々の物語を表現したビジュアルがデザインされた和紙の風合いのクリアファイルとなっている。
本作をいち早く鑑賞した原作者の古川は「これは映画のモンスターである。スクリーンがこれほど怪物的にうごめき出すのを、私はおそらく初めて観た」、脚本を担当した野木は「映画館で見ておけばよかったー! と後悔しないよう、彼らの失われた物語を、奪われた物語を、目撃する一人になってください」とコメントを寄せている。
コメント
古川日出男
これは映画のモンスターである。スクリーンがこれほど怪物的にうごめき出すのを、私はおそらく初めて観た。しかも、それらの「うごめき」はポップで、悲劇的なはずなのに徹底して楽天的で、要するに痛快な「しいたげられた者たちの反撃」なのだ。映像だけではない。音楽も、それからキャラクターたちの声もぜんぶ蠢動している。私は、原作の小説を書いたはずなのだけれども、そうした事実はすっかり失念してしまって、スクリーンに映し出される「世界」に唖然とさせられている。にもかかわらず、身体は反応してしまっていて、揺らされている。私はシェイクさせられている。いったいこれはなんなのか、と私は素直に思った。そして、回答はこのコメントの最初に記した。これは映画のモンスターである。これはアニメーションのモンスターである。これは音楽アニメーションのモンスターである。
野木亜紀子
湯浅監督の鬼才たる所以を「どうだ!」と見せつけられ、ただただ驚愕するばかり。千尾のイルカが連なって、デッカい鯨が立ち昇る。ぽかんと見上げたこの私、遠い昔のあの場所で犬王の舞台を目撃した幸運な一人になってしまった。泣きたくなるようなアヴちゃんの艶やかな咆哮、腹に響く森山氏の確かな唄声、いつまでも何度でも聴きたくなる、麻薬のような音の波。帰り道は「♪デッカいく〜じら〜」と口ずさむこと請け合い。映画館で見ておけばよかったー! と後悔しないよう、彼らの失われた物語を、奪われた物語を、目撃する一人になってください。
■公開情報
『犬王』
初夏、全国公開
声の出演:アヴちゃん(女王蜂)、森山未來、柄本佑、津田健次郎、松重豊、片山九郎右衛門、谷本健吾、坂口貴信、川口晃平(能楽師)、石田剛太、中川晴樹、本多力、酒井善史、土佐和成(ヨーロッパ企画)
原作:『平家物語 犬王の巻』古川日出男(河出書房新社刊)
監督:湯浅政明
脚本:野木亜紀子
キャラクター原案:松本大洋
音楽:大友良英
総作画監督:亀田祥倫、中野悟史
キャラクター設計:伊東伸高
アニメーション制作:サイエンスSARU
配給:アニプレックス、アスミック・エース
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