三谷幸喜3作目の大河ドラマ 小栗旬主演『鎌倉殿の13人』5つの見どころ

『鎌倉殿の13人』5つの見どころ

 いよいよ1月9日にスタートする2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)。後に鎌倉幕府の執権政治を確立する北条義時(小栗旬)が源頼朝(大泉洋)と出会い、父や兄、姉らと共に源氏の嫡流である頼朝をバックアップして平家打倒の兵を挙げる。劇作家・映画監督の三谷幸喜が『新選組!』『真田丸』(ともにNHK総合)を経て描く3作目の大河ドラマだ。製作発表時から、三谷ファンや歴史好きの視聴者に放送開始が待ちきれないと期待されてきた新作。その見どころを紹介する。

1)序盤は三谷お得意のシチュエーション・コメディ

鎌倉殿の13人

 物語は1175年、私たちが「いい国作ろう鎌倉幕府」と憶えた1192年より17年前から始まる。舞台は関東の伊豆半島にある北条氏の館。当主の北条時政(坂東彌十郎)とその息子の宗時(片岡愛之助)と義時(小栗旬)、娘の政子(小池栄子)、実衣(宮澤エマ)らは、坂東武者の強固なネットワークがある中、賑やかに暮らしていたが、時政が京での務めを終えて帰ってきた頃、館に流罪人の頼朝が潜んでいることが判明する。頼朝はそれまで義時の母方の祖父である伊東祐親(浅野和之)の監視下にいたのだが、祐親の娘・八重(新垣結衣)と通じ子までもうけたことで、その逆鱗に触れてしまったのだ。宗時は源氏の嫡流である頼朝に平家打倒の兵を挙げてほしいと願うものの、他の源氏が散り散りになっている今、勝てる見込みはないうえ、そうなれば北条家は平家に滅ぼされてしまう。その前に、頼朝を匿っていることがビッグボスである祐親にばれるとまずい。義時は焦るが、秘密を知る者はどんどん増えていく。

 頼朝が伊東家から北条家に移ったのは史実だが、それを勝手に逃げてきたことに設定したのは、いかにも三谷幸喜らしいアレンジ。ある場所で困ったことが起き、そこにいる人たちがトラブルを内密に解決しようとするものの、そのためについた嘘がどんどん大きくなっていってしまうというシチュエーションは、これまでも三谷が『君となら』などの演劇作品や『記憶にございません!』などの映画で描いてきたお得意のパターンだ。トラブルを起こす人、それをかばおうとする人、困ったことになったと頭を抱える人、騒ぎを大きくする人、嘘に気づかない人。さまざまな立場の人間が錯綜した末にとんでもない事態になってしまう。第1回にはそんなおかしみが満載なので、歴史劇だと気構えずに楽しむのが正解だ。

2)主人公・北条義時は“巻き込まれ型”の主人公

鎌倉殿の13人

 後に国のトップになる義時だが、第1回の時点ではまだ数えで13歳。年齢のわりには賢いが、政治的なことはわかっていない。このまま平家の世でもいいのではないかと思っていたのに、兄の宗時が暴走してしまい、源平の戦いに巻き込まれていく。その立場は『真田丸』の次男坊、信繁(堺雅人)に近い。第1回では、義時が兄に逆らえず嫌々ながら頼朝の世話をするさまが笑いを誘う。宗時は頼朝に勝手に期待しているし、姉の政子も頼朝の高貴な血筋と紳士的な態度にうっとり。特に政治的信条のない父親の時政を含め、誰も頼りにできない状況なので、自分がしっかりするしかない。そんなちょっとかわいそうな義時を小栗旬が自然体で演じている。舞台での経験も豊富な小栗だけに、三谷脚本に馴染み、笑わせるところとリアリズムで演じるところのチューニングの変え方も上手い。

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