『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ついに公開! 押さえておくべき前提知識は?

『スパイダーマン』押さえておくべき前提知識

次元を超えてくるヴィランたちとの間にあったドラマ

 では、今回登場するヴィランたちについて説明しましょう。

グリーン・ゴブリン/ノーマン・オズボーン(ウィレム・デフォー)

 映画『スパイダーマン』に登場。優秀な科学者だったが特殊な血清を投与して超人になるも二重人格となり邪悪な面が覚醒。グライダーと呼ばれる飛行メカに乗って空から襲う。彼の息子でピーターの親友だったハリーもゴブリンとなり、スパイダーマンと戦った。筆者の意見としては、全スパイダーマンの中でゴブリン化している時は、最も邪悪。また親友の父ということで極めて複雑。

ドック・オク/オットー・オクタビアス(アルフレッド・モリーナ)

 映画『スパイダーマン2』に登場。事故で4本の人工アームと融合してしまった異形の科学者。人工アームのAIに意識をコントロールされ邪悪なヴィランとなる。元々ピーターが尊敬する科学者だし、自分が手掛けた核融合の実験をやりとげたいという執着心から怪人化したので根っからの悪ではない。ドック・オクとはタコ博士という意味もある。人工アームがタコっぽい。

サンドマン/フリント・マルコ

 映画『スパイダーマン3』に登場。犯罪者で逃げ込んだ先の科学研究施設で分子分解実験に巻き込まれ体の組織と砂が融合し、変幻自在の砂人間となる。映画版ではピーターの親代わりで愛してたベンおじさんの死に関係があり、ピーターは最初怒りにとらわれサンドマンに復讐しようとした。しかしラストでサンドマンを赦す。

リザード/カート・コナーズ

 映画『アメイジング・スパイダーマン』に登場。優秀な科学者だったが爬虫類の再生能力を応用した薬を自らに投与しトカゲ人間に変異。人類を爬虫人類化しようとする。ピーターの父の親友であり、ピーターも彼を尊敬していた。

エレクトロ/マックス・ディロン(ジェイミー・フォックス)

 映画『アメイジング・スパイダーマン2』に登場。スパイダーマンに憧れる電気技師だったが、事故で電気ウナギの発電能力を身に付け電気人間となる。ある誤解からスパイダーマンを憎むようになり彼を襲う。なおその時ピーターは恋人グウェンと共にエレクトロを倒すが、その後悲劇が起こり高所から落下する彼女を助けられなかった、という心の傷を負う。

 基本、歴代スパイダーマンのヴィランたちは、

※ピーターとなんらかの因果関係がある人間で、スパイダーマンの正体を知っている(ただし、エレクトロはピーターではなくスパイダーマンとの間に問題がある)。
※実はヴィラン同士は面識がない。例えばドック・オクはグリーン・ゴブリンが死んだ後に誕生したので、2人が共闘したことはない。エレクトロもリザードの事件の後で怪人となったので、2人が同時期にヴィランだったことはない。さらにドック・オクらとエレクトロたちは別の世界の住人同士なので当然交流はない。
※スパイダーマンとの戦いで命を落とす。ないし消滅する。けれど、どの世界のスパイダーマンもあくまで彼らの“暴走を止める”ために戦っているのであって、彼らを倒そう・殺そうとはしていない(ただしサンドマンに対しては、当初おじの仇と憎んでいた)。

 というわけで、前の世界でそれぞれのスパイダーマンとこじれまくった関係にある状態でトム・ホランド版ピーターの前に現れた、ということになります。しかも、元の世界では皆スパイダーマンとの戦いの中で結果的に死んでしまうわけですが、その死の運命をまだ知らず、トム・ホランド版の世界に来てしまうわけです。

 だから、とにかく元の世界に戻せばいいというほど簡単な話でないことがわかります。このへんの事情や設定を頭に入れておくと『ノー・ウェイ・ホーム』を観た時に「ああ、なるほどね」とか「あのセリフの意味はこういうことか」とわかってくるかと思います。多分、『ノー・ウェイ・ホーム』を観たら、今回フィーチャーされるヴィランたちが登場する過去のスパイダーマン映画も気になりだすはず。

 『ノー・ウェイ・ホーム』はスパイダーマン映画の集大成であると同時、今までのスパイダーマン映画の魅力を改めて気づかせる入門編でもあるのです。

■公開情報
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
全国公開中
監督:ジョン・ワッツ
脚本:クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
製作:ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカル
出演:トム・ホランド、ゼンデイヤ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、マリサ・トメイ、アルフレッド・モリーナ、ウィレム・デフォー、ジェイミー・フォックス
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
原題:Spider-Man: No Way Home
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