土屋太鳳「“今”がものすごく大事だと思う」 新春ドラマ『優しい音楽』に込めた思い
1月7日20時から放送されるテレビ東京の新春ドラマスペシャル『優しい音楽~ティアーズ・イン・ヘヴン 天国のきみへ』は、脚本に『ひよっこ』(NHK総合)の岡田惠和、監督に映画『Fukushima 50』の若松節朗を迎え、瀬尾まいこの短編集をドラマ化した“家族”と“絆”の物語だ。そんな本作で主演を務めるのは、脚本の岡田とは『8年越しの花嫁 奇跡の実話』でもタッグを組んだ土屋太鳳。作品にかける思いや、今回初主演となったテレビ東京の印象などについて語ってもらった。
「気持ちの“共有”ができない時代だなと思う」
ーー瀬尾まいこさんの人気小説を脚本・岡田惠和さん、監督・若松節朗さんという豪華布陣で映像化する本作の企画について、最初に話を聞いたときの率直な感想を教えてください。
土屋太鳳(以下、土屋):最初にお話をいただいたときは、本当に嬉しい気持ちもありつつ、自分自身のことをとても未熟者だなといつも思っているので、恐れ多いなという気持ちがありました。ただ、この作品の概要を見て、この時代に非常に大事なものだと感じたんです。今とても必要な題材だと思ったので、お受けいたしました。
ーー“今の時代に必要”というのは具体的にどういうところですか?
土屋:一見、穏やかな時代の中で、周囲とのバランスをとりながら、みんな笑顔で生きている気がするんですけど、その中に悲しさや虚しさのような思いが点在しているように感じるんです。その点と点、つまり悲しさや虚しさ、辛さ、苦しさなどの要素が、なかなか繋がりにくい時代だなと思っていて。繋がれば人と共有することができるけれど、なかなかその気持ちの“共有”ができない時代だなと思うんです。そういう時代なので、目の前にいる人が少しでも元気が出るように、「この作品で一緒に乗り越えよう」という気持ちが強くありました。“今”がものすごく大事だと思うので、頑張って生きようという気持ちを込めて撮影に臨んでいます。
ーー脚本の岡田惠和さんとは、映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』でもご一緒されていました。
土屋:岡田さんの脚本は、基本的に言葉が柔らかいんです。だけど、描いていることや登場人物が言うことはかなりシビアだったりする。柔らかい言葉で真実をしっかり描いているのが素敵で、それが人の心に届きやすい理由だとも感じます。
ーー今回、主人公の鈴木ちなみ役は、監督の若松節朗さんとプロデューサーとの間で、土屋太鳳さんにお願いしたいと意見が一致したと伺いました。
土屋:すごくありがたいことでした。ちょうど今撮影中なのですが、監督と私の歳がかなり離れていることもあって、私が思う“自然なお芝居”と、監督が求める自然なお芝居が少し違って、逆にその違いが面白く感じるんです。もっといろんな気持ちを知りたいし、監督の考えに触れることで、自分自身の深い部分をもっと見られるような気がして。「ちなみ役は土屋太鳳に」というお気持ちはとても嬉しい反面、実際の撮影は修行のような気持ちで頑張っています(笑)。
ーー監督と土屋さんの間で生じるズレというのは具体的にどういうところなんでしょう?
土屋:私にとっての“自然さ”で言うと、あまり目を動かさないようにするんですけど、監督は目の表現を結構大事にされているのかなと。今までのお芝居ではあまりやってこなかったことなので、自分の中で新しい感覚で、刺激をいただいています。
ーー現場で軌道修正されている部分もあるんですね。
土屋:そうですね。今回の作品に限らずですが、監督からいただいたアドバイスは基本的にすぐ取り入れるようにしています。自分の感覚なんて信用できないので(笑)。いろんな人の意見が入ることによって、よりいいものが生まれるのかなと感じています。