『恋慕』正体を明かしたフィが迎えた結末 最終話で描かれた“美しい夢”とは

『恋慕』最終話で描かれた“美しい夢”

 フィは生きて戻り、ギジェは亡くなった。戦いは終わり、大妃の配慮により身を隠してどこかでひっそり暮らすこともできた。それでも逃げずに処罰を受けると言ったのが、フィらしい。今までも身を隠していた彼女にとって、それは同じことを繰り返すだけだからだ。ところが、多くの家臣たちがフィの罰を自分たちが受けると申し出る。国と民に尽力してきたフィの姿が、フィの生き様が彼女自身を救ったのだ。キジェは以前、王になろうとする者は、家族や兄弟の命を絶つことができるくらい非情でなければならないと言っていたが、それは間違いだった。その言葉の通りにチェヒョン大君を殺してしまったウォンサン君(キム・ペク)は、王になれなかったのだから。

 王位を譲位したのはイ・ヒョン(ナム・ユンス)。ヒョンは王という形で、フィに新しい人生を生きるよう命じる。ヒョンとフィは恋人として結ばれることはなかったけれど、永遠にあり続ける強い絆で結ばれている。これからも変わらず、フィの幸せをヒョンなりの形で守り続けるだろう。ソウンは最後まで相手を重じ縁がなかったと運命を受け止め、ハギョンはフィを恨まないことで新しい人生をスタートさせた。四角関係だったあの頃が懐かしく幻のようだが、それそれが自分の道をまた歩んでいく。

 フィとジウンは夫婦になり、魚を釣って一緒に夕飯を食べることを叶えた。森で語った時はその光景が輝いて見えたが、こんなにも平凡であたたかい幸せだったことは二人が一番噛み締めていることだろう。フィはこれまでのことを「とても長くて恐ろしくて、美しい夢だった」と話す。生まれた瞬間から死を命じられ、死んだ兄に変わって正体を隠しながら王にまでなったフィの人生は、先の見えない闇の中で計り知れない恐怖と戦っていた。最後のシーンは、フィとジウンの元にヒョン、キム尚宮(ペク・ヒョンジュ)、ホン内官(コ・ギュピル)、キム・ガオン(チェ・ビョンチャン)がやってくる。イ・フィとして生きた深い暗闇の中で、時には手を取り時には光を照らし、いつもそばで支えてくれたこの仲間たちとの時間は“美しい夢”だったに違いない。

■配信情報
『恋慕』
Netflixにて独占配信中
出演:パク・ウンビン、キム・ロウン、ナム・ユンス、チェ・ビョンチャン、ペ・ユンギョン、チョン・チェヨン
原作:漫画『恋慕』イ・ソヨン作
演出:ソン・ヒョンウク、イ・ヒョンソク
脚本 :ハン・ヒジョン
製作:モンスターユニオン、イヤギサニャンクン
写真はKBS公式サイトより

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