映画史に残る傑作『マトリックス』シリーズ 新作前におさらいしたい重要ポイントを解説

 さて、ネオは本当に救世主なのか。その運命を預言したのは、オラクル(グロリア・フォスター/メアリー・アリス)という名の預言者。かつてモーフィアスに、「救世主が復活する」と預言したため、人々はネオこそが救世主であると信じているわけだ。のちにオラクルはマシン側のプログラムであると判明するが、それでもネオに希望を抱き、彼こそが人類を解放する救世主なのだと示唆し続ける。

 マトリックスの造物主であるアーキテクト(ヘルムート・バカイティス)の言葉によると、ネオの救世主としての目的は、「ソースに戻って保持するコードを撒き、初期プログラムを書き込む」こと。これは、プログラムでいうところのバージョンアップと理解してよい。

 作中では、ネオの前にも5人の救世主がいたと説明され、その6人目とされるのがネオだ。つまりマトリックスは過去に5回のバージョンアップを実行済みで、ネオがソースに戻る(=ネオをインストールする)ことで、マトリックスは最新のバージョンに更新される、というわけだ。その使命を拒否すれば、破滅的な崩壊が起き、マトリックスに繋がれた者は死ぬ……。しかし、トリニティの危機を察知したネオは、愛する者を救うために異例の“選択”を下すのだ。『マトリックス』シリーズは、この“選択”という言葉が大きなポイントであり、今度の新作でも重要なキーワードとなりそうだ。

 完結編『マトリックス レボリューションズ』(2003年)では、ネオが現実世界のマシンシティに行き、機械の集合体、デウス・エクス・マキナと対面。戦争を終わらせることを条件に、人類と機械の共通の敵であるエージェント・スミスを倒すと約束。その結果、平和が訪れたはずだったが……。果たして『マトリックス レザレクションズ』ではどのような物語が描かれるのだろうか。

■公開情報
『マトリックス レザレクションズ』
全国公開中
監督:ラナ・ウォシャウスキー
出演:キアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ジェイダ・ピンケット・スミス、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、プリヤンカー・チョープラー、ニール・パトリック・ハリス、ジェシカ・ヘンウィック、ジョナサン・グロフ、クリスティーナ・リッチ
配給:ワーナー・ブラザース
(c)2021 WARNER BROS. ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:matrix-movie.jp
公式Twitter:@matrix_movieJP

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