“加瀬さんコール”が鳴り止まない! 『最愛』でアップデートされた“最新版”の井浦新

『最愛』でアップデートされた井浦新の存在

 そんな加瀬さん役が好評の井浦だが、彼自身、近年ますます勢いを増している印象が強い。『ニワトリ☆スター』(2018年)のようなトリッキーな作品から、ヒューマンドラマ『こはく』(2019年)や『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』(2020年)などのサスペンス、公開中のファンタジック・ラブストーリー『恋する寄生虫』まで、あらゆる作品に適応し、『宮本から君へ』(2019年)でヒモ気質のクズ男を演じたかと思えば、『朝が来る』(2020年)では心優しい夫役の顔を見せてきた。2019年公開の『嵐電』は映画を専攻する学生たちとともに作り上げ、この夏に公開された『シュシュシュの娘』は自主制作映画であった。

 このように、キャリアを重ねるごとに振れ幅大きく、よりアクティブな俳優活動を展開しており、ここ数年はドラマ作品で彼の姿を目にすることも以前より多くなったのではないだろうか。『アンナチュラル』(2018年/TBS系)に『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(2019年/日本テレビ系)、『にじいろカルテ』(2021年/テレビ朝日系)、さらには朝ドラ『なつぞら』(2019年/NHK総合)までと、作品ごとに多くの視聴者に自身の存在を印象づけ、それを確実にアップデートし続けている。その“最新版”の井浦の姿が、『最愛』で演じる加瀬さんというわけだ。

 加瀬さんの動きから目が離せないと先述したが、演じる井浦本人に対しても同じである。コロナ禍という未曾有の事態に見舞われてからは特に、俳優として、アーティストとして、彼の動きの大きさは顕著だ。俳優仲間たちとともに、ミニシアターを応援するための「ミニシアターパーク」の立ち上げや、自身の関わった作品の宣伝など、演じる役を超えた活動にも積極的。作品を、ひいては広く映画を世に届けるためにリーダーシップを発揮しているように思う。もちろん、今作『最愛』との関わり方も同様である。さて、『最愛』で加瀬さんが思い切り本音(感情)を表出させることがあるのならば、井浦はどのようにして魅せてくれるのだろうか。加瀬さんから、そして井浦新から、いま目が離せない。

■放送情報
金曜ドラマ『最愛』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:吉高由里子、松下洸平、田中みな実、佐久間由衣、高橋文哉、奥野瑛太、岡山天音、薬師丸ひろ子(特別出演)、光石研、酒向芳、津田健次郎、及川光博、井浦新
脚本:奥寺佐渡子、清水友佳子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子
編成:中西真央、東仲恵吾
主題歌:宇多田ヒカル「君に夢中」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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