『カムカムエヴリバディ』松村北斗が王子様すぎる 安子に芽生えた甘い夢
イケメンと共通の話題を作るためなら、早起きなんて朝飯前。『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第4話では、前回初登場した稔(松村北斗)の王子様っぷりに拍車がかかる。
また会った時のために、少しでも英語がわかるようになっておきたい。そんな乙女心を炸裂させながら、朝バタバタと起きてきてラジオから流れる英語を聞き取り、カタカナにしてメモしていく安子(上白石萌音)。後にそれがcurio(キュリオ/骨董品)だとわかった単語を、「キュウリ」と勘違いしてしまう安子だが、彼女のこのやり方は英語を学ぶうえで実は結構正しい。
今は、英語を習おうと思えばテキストから何から全て用意されている。学校の授業では教科書を通して、まずはアルファベッドの書き方から学ぶという“視覚”から入る。しかし、言語習得の鍵は“聴覚”にある。例えば日本語も、生まれてから読み書きを教わるまでは両親の話す言葉や周囲の会話を“耳”で拾うから、子供も話せることは話せる。そしてわからない言葉や意味が登場するたびに、大人に聞いては理解を重ねていったはずで、絵本を読んだり文字を書いたりという視覚的な学習はしばらく後に行われていることがわかる。英語も、同じ。特に、“話すこと”に注力するなら、まずはどう話せば良いかという発音を知るためにも耳を慣らす行為が有効であり、安子のような書き取りはネイティブの発音を拾う意味でも結構重要なことをしているように感じる。
さて、同じ頃、安子が気になる稔もラジオを聴いて勉強をしていた。弟の勇(村上虹郎)から毎日のようにやっていて飽きないのかとからかわれるが、「お前の(野球の)素振りと同じじゃ、やらんと気持ちわるいじゃろ」と笑う稔。言語習得において、もう一つの重要なことが“継続”であることも、さらりと描かれていて感心する。
ただ、その後の稔や勇の家族の食事シーンをはじめ、今話では安子と稔の間に大きな経済的な格差があることを示唆する描写が続く。稔は、父・千吉(段田安則)が一代で築き上げた雉真繊維の跡取りであり、将来欧米との取引をするため、英語を学んでいる。雉真繊維は足袋から学生服、そして現在は軍からの発注で軍服も作っていて、歴史を考えると今後もビジネスは軌道に乗り続ける一方だろう。再び雉真繊維からの注文を受け、配達をしにいけばまた稔に会えるとウキウキする安子だが、出てきたのは女中で、彼女はがっかりしてしまう。そもそも前回は皆がラジオの野球試合に夢中だったからという、たまたまで稔が表に出てきた。しかし、この時代はそういった家庭の雑務をするのは女性の役目。前の回から、やはり昔のジェンダーロールに少し焦点が当てられながら、話が進んでいるように感じる。