『ただ離婚してないだけ』など狂気感じる演技に定評 躍進し続ける女優・萩原みのり

萩原みのりの狂気と躍進

 基本的に快活で強気な女の子を演じることが多いが、『表参道高校合唱部!』や『賭ケグルイ双』(Amazon Prime Video)のように大人しい眼鏡っ子キャラも似合う。もともと大きな目元が印象的で、表情豊かな彼女だからこそ様々な役柄でいつも違う一面を見せてくれるものだ。しかし、近年人気が高まっている“不倫もの”ドラマに、2作立て続けに出演した後の彼女は面構えが違う。

 今年の3月から5月にかけて放送されたドラマ『RISKY』(MBSほか)では主演を務め、姉を流産させた女や元婚約者の男に復讐を誓うという過激な役柄を演じ切った。特に復讐のために近づいた男に見せる甘い表情と本性のギャップがすごい。かわいらしい笑顔だったのに、急にストンと一切の感情を顔から消したり、逆に瞬時に激情を表したりすることができて、いい意味で“怖い”のだ。その怖さは、『ただ離婚してないだけ』でさらにパワーアップする。今度は主人公の浮気相手という役どころ。第1話から温泉へ不倫旅行をしに行くも、終始冷め切った正隆(北山宏光)に対して腕を絡ませながら甘える萌(萩原みのり)。奥さんのいない家で堂々と情事にふけったり、常に携帯で連絡をしたり、その言動は最初から常識を逸脱するものだった。でも、萩原が演じているからかわいい、しかしそのかわいさが怖いというふうにどんどん感じてしまう。萌の受けた仕打ちも酷く、徐々に廃人のようになっていく様子の怪演っぷりが凄まじい。家に押しかけてナイフを振りかざすシーンは、画面を通り越して伝わる鬼気迫るほどの激しさ。間違いなく今旬の“最狂女優”は、萩原をおいて他にない。

映画『成れの果て』特報映像

 そんな彼女の最新主演作『成れの果て』も、なかなか激しそうな作品だ。金髪のビジュアルが印象的な萩原が演じるのは、8年前のある事件によって心に傷を負い、地元を離れた主人公。しかし、自分の姉が事件に関わっていた男と婚約したことを知り、帰郷するという物語だ。特報映像からも、彼女の気迫が感じられる。気性の激しいキャラクターの狂気に説得力を持たせる萩原の女優としての手腕を、今後も期待したい。

■公開情報
『成れの果て』
12月3日(金)新宿シネマカリテほか全国順次公開
出演:萩原みのり、柊瑠美、木口健太、秋山ゆずき、後藤剛範ほか
監督:宮岡太郎
配給:SDP
2021年/81分/カラー/日本/ステレオ/1:2
(c) 2021 M×2 films
公式サイト:https://narenohate2021.com/
公式Twitter:@mov_narehate

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