『おかえりモネ』百音と明日美が過ごした最後の夜 喜びも悲しみも分かち合える関係性

『おかえりモネ』百音と明日美、東京最後の夜

 永浦家に百音(清原果耶)から手紙が届く。手紙には「私は今、みんなと一緒にいたい。自分の生まれ故郷に戻って気象の仕事をしてみたい。心からそう思っています」と綴られていた。NHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』が第20週初日を迎え、百音が気仙沼に戻る日が近づく。

 百音からの手紙を読んだ永浦家はどこか落ち着かない。亜哉子(鈴木京香)はやや心配そうに「あの子、帰ってくるって言ってるけど……どう?」と耕治(内野聖陽)に問いかけるも、耕治が「どうも何も……」と返答すると、亜哉子だけでなく龍己(藤竜也)や未知(蒔田彩珠)の表情も和らいだ。龍己は「(百音が)帰ってくんな」と嬉しそうに微笑む。未知は「帰ってきなよって言ってある」と穏やかな表情を見せ、そんな未知の言葉を聞いて、耕治と亜哉子は安心したように顔を見合わせる。永浦家は百音が帰るのを待っている。


 一方、東京では、百音が報道気象班最後の日を迎えていた。莉子(今田美桜)は来年1月から仙台中央放送の番組でメインキャスターになることが決まり、これまで共に働いてきた百音、莉子、内田(清水尋也)はそれぞれの道を歩むことになった。“ウェザーエキスパーツ”に戻ってきた百音を安西(井上順)と野坂(森田望智)が出迎える。「地域の防災と減災は私たち一緒の目標だから。頑張ろうね」という野坂の言葉は、百音にとって心強い言葉になったことだろう。「じゃあ健闘を祈ります」と安西に送り出された百音の表情は明るく清々しかった。“ウェザーエキスパーツ”を去る前、百音は朝岡(西島秀俊)とも言葉を交わしていた。「まあ、また、すぐ一緒に仕事するでしょう」「同じ空の下ですから」という朝岡の言葉に、百音は笑顔を見せる。百音は東京から気仙沼に戻るが、東京で出会った人々とのつながりが断たれるわけではない。心地の良い別れの場面だった。

 その晩、百音は明日美(恒松祐里)と東京最後の夜を過ごす。ふと明日美が「何でみんな戻っちゃうんだろう」とこぼした。「東京に出てきたら、地元のことなんか忘れて過ごすよ」「なのに何でうちは地元大変だからって、みんな帰らなきゃいけないみたいな」と、明日美は自分の思いを吐き出していく。「だから私は帰らない」と自分の決意を口にする明日美だが、その直後「私、薄情かな?」と不安そうな表情を見せる。地元に対する思いや考えは人それぞれ違う。だが明日美は、地元に戻る友人の姿を見て「地元に帰らない」決意を気にしていたのだろう。そんな明日美に百音は「そんなこと思わなくていいんだよ」と声をかけた。

 百音は「スーちゃんの、まっすぐで、友達思いで、明るいとこがずっと救いだった」と言っていたが、明日美にとっても、明日美の思いを真摯に受け止める百音の存在は救いだったはずだ。明日美を演じる恒松は公式インタビューで、明日美と百音の関係について「性格がぜんぜん違うからこそ、お互いを理解しているし仲がいいのかもしれませんね。モネはもちろん、幼なじみの喜びも悲しみもすべて分かち合える関係性がすてきだなと思っています」と答えているが、第20週初日の百音と明日美のやりとりは、まさにそんな2人の関係性が感じられる感慨深い回となった。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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