梶裕貴、『進撃の巨人』エレン役で新境地開拓 ヒーローの二面性を表現

 エレンといえば、「巨人を駆逐する」という信念に向かって猛進していくキャラクターであり、ピュアすぎる正義感や行動力から「死に急ぎ野郎」と作中に揶揄されることもある。同時に「もしも失敗をしたら……」と不安に駆られる場面も多々あり、「ビビってるのか!?」と煽られればすぐに否定してみせる。こういった気持ちの揺らぎに、エレンの人間味や内にある弱さが見えてくる。

 巨悪を討つために命を賭そうとする勇敢さと、圧し掛かるプレッシャーに委縮してしまう臆病さ。「ヒーロー」を演じるうえではこういった二面性をどのように表現するかは避けては通れない。梶にとってそれまで未開拓であった部分が、エレン・イェーガー役を通して開花させられ、梶を成長させたと言っても良いだろう。

 その後、『東京喰種トーキョーグール』の霧嶋絢都、『ワールドトリガー』の三雲修、『僕のヒーローアカデミア』の轟焦凍といった“バトル系”と目される作品で主要キャラを演じ、いずれの作品もヒット。さらに彼が得意としていた甘い声色を活かした配役がアタリ、2010年代後半にかけて梶裕貴は一気に注目されていく。

 臆病さも、勇敢さも細やかに感情豊かに演じ分けできるようになった梶。そのきっかけを与えてくれたエレン・イェーガーを、ファイナルシーズンのなかでどのように演じるのか期待して待っていよう。

■放送情報
TVアニメ『進撃の巨人』The Final Season 第76話「断罪」
NHK総合にて、2022年1月より放送予定
※放送日時は変更になる場合あり
キャスト:梶裕貴(エレン・イェーガー)、石川由依(ミカサ・アッカーマン)、井上麻里奈(アルミン・アルレルト)、下野紘(コニー・スプリンガー)、小林ゆう(サシャ・ブラウス)、三上枝織(ヒストリア・レイス)、谷山紀章(ジャン・キルシュタイン)、細谷佳正(ライナー・ブラウン)、朴ロ美(ハンジ・ゾエ)神谷浩史(リヴァイ)、子安武人(ジーク)、花江夏樹(ファルコ・グライス)、佐倉綾音(ガビ・ブラウン)、沼倉愛美(ピーク)、増田俊樹(ポルコ・ガリアード)、村瀬歩(ウド)、川島悠美(ゾフィア)、松風雅也(コルト・グライス)、
原作:諫山創(『別冊少年マガジン』連載/講談社)
監督:林祐一郎
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:岸友洋
総作画監督:新沼大祐
演出チーフ:宍戸淳
エフェクト作画監督:酒井智史、古俣太一
色彩設計:末永絢子
美術監督:小倉一男
画面設計:淡輪雄介
3DCG監督:上薗隆浩
撮影監督:浅川茂輝
編集:吉武将人
音響監督:三間雅文
音楽:澤野弘之/KOHTA YAMAMOTO
音響効果:山谷尚人(サウンドボックス)
音響制作:テクノサウンド
アニメーションプロデューサー:松永理人
制作:MAPPA
(c)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
公式サイト:https://shingeki.tv/final/
公式Twitter:@anime_shingeki

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