『偽りの隣人』はタイトルとのギャップに驚くこと間違いなし 裸で向き合うことの大切さ

タイトルとのギャップに驚く『偽りの隣人』

 そんな笑いに溢れた展開で中盤が進む一方、終盤には最悪の形の悲劇が訪れます。行き過ぎた権力は何をもたらしてしまうのか、傲慢な人間が政治を担うと国民にどんな影響が出てしまうのか。当時の軍事政権下の韓国とはまったく状況が違いますが、現在の日本人にとっても、決して他人事では済まされないものがあると感じました。

 そして、驚いたのは本作はここで、最後の救いに再び笑いを交えたこと。着飾らず、上っ面の言葉ではなく、“裸”で向き合えば、他者を動かすことができる。主人公デグォンが取った最後の行動には、笑いつつも涙が出てしまいました。人間の根源的などうしようもなさ、そして愛らしさが詰まった結末になっています。

 エンドロールでは、劇中にも登場する楽曲「クルクル」が流れます。「ずっとクルクル回って人を惑わす」という冗談のような理由で、1985年当時、検閲によって実際に使用禁止曲になりました。イ・ファンギョン監督は皮肉の意味も込めて、この楽曲を使用したそうです。ラストシーンの余韻にぴったりの「クルクル」、音響のいい映画館で味わうことをオススメします。

■公開情報
『偽りの隣人 ある諜報員の告白』
シネマート新宿ほかにて公開中
監督:イ・ファンギョン
出演:チョン・ウ、オ・ダルスほか
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
2020年/韓国/韓国語/130分/シネスコ/5.1ch/英題:Best Friend/日本語字幕:安河内真純
(c)2020 LittleBig Pictures All Rights Reserved.
公式サイト:itsuwari-rinjin.com



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