増田貴久×池田エライザはぴったりの配役に 『古見さん』原作を尊重した巧みな演出
池田エライザもまた、古見を演じる上でぴったりの配役だと感じる。マドンナと言われるその容姿(ネコ目)やスタイル、黒髪は必須条件に、古見は小さな表情の変化でその心の機微を表現しなければならない難しい役どころだからだ。只野は古見の「友達100人作ることです」という夢に「じゃあ僕が1人目の友達になるし、あと99人の友達作りも手伝うよ」と返信する。原作では顔を赤らめる古見の姿が1ページを使って描かれる印象的な場面だが、このドラマ版では池田が目を大きく見開き只野を見ては瞬きを繰り返す。さらに「よろしくお願い致します」と一緒にネコの絵を描いて「ニャオ」と一言つぶやくのはドラマ版のオリジナル要素。ラストに見せる微かな笑みが古見が踏み出した新たな一歩を表している。
教室に差し込む西陽によって2人が長い間、筆談をしていることを表す演出や只野、古見、片居とそれぞれの登場シーンで黒板に描いた原作漫画のキャラクターをカットインさせる演出など、原作漫画を尊重しながら、エッセンスとして多分に入れ込まれているドラマオリジナル要素は今後も注目したいポイントだ。
第2話からは、万場木、片居、長名なじみ(ゆうたろう)が本格的にストーリーに参加。古見と親密にしていることで只野が校内の生徒から敵視されていることが発覚する。放送は全8話。原作は22巻まで続いており、どこまでのエピソードが描かれるのかも必見だ。
■放送情報
『古見さんは、コミュ症です。』
NHK総合にて、毎週月曜22:45〜23:15放送(全8回)
出演:増田貴久、池田エライザ、吉川愛、ゆうたろう、溝端淳平ほか
原作:オダトモヒト
脚本:水橋文美江
音楽:瀬川英史
主題歌:aiko
制作統括:樋口俊一(NHK)、高城朝子(テレビマンユニオン)
プロデューサー:大沼宏行(テレビマンユニオン)
演出 :岡下慶仁(テレビマンユニオン)、石井永二(テレビマンユニオン)
総合演出:瑠東東一郎(メディアプルポ)
写真提供=NHK