【ネタバレあり】『ボイスII』衝撃のラストシーン 増田貴久演じる透と樋口の絆を再確認
橋の上で、樋口と石川が電話越しに話すシーン。石川が一粒、涙をこぼした。その胸中と、劇伴が重なる。無惨な死を遂げた重藤班長(増田昇太)が生きているかもしれない、そんな“ありえない”光景を見た自分への不信感もあるだろう。まさか、その真偽を確かめようとしているだなんて、言い出せなくて当然だ。
けれど橘の聴力と、ECU総力戦による証拠集めにより、“ありえない”光景は現実であったと判明する。みるみる蘇る石川の記憶ーー橘を人質にとった瞬間、筆者は初めて石川を疑ってしまった。錯乱状態に陥ったのか、なにか都合の悪いことまで思い出したのか、と。けれど樋口は、重藤らが構えた銃を制した。行動の理由は分からずとも、石川を信じていたからだ。
石川が暴挙に出た(ふりをした)のは、どこかで見ている久遠に、望む姿を見せつけるため。同時に、行動の意図を樋口に伝えるためだった。すべてを察した樋口と石川が目で会話を交わした瞬間、痺れるような感覚を覚えた。
石川が凶弾に倒れたのは、2人がかけがえのない相棒であることを確かめ合って間もなくのこと。石川を取り戻し、敵を目前に捉え、「これから」と高まるそのときを狙って、久遠は樋口を絶望へ突き落とそうとする。そうまでして樋口に何を知らしめたいのかーーそこはまだ、読めないままだ。
ただ、尾ひれをつけた噂を吹聴する人間に対して「舌を焼く」と答えた久遠。唯一、白塗り野郎が手を下したとされる刈谷は、確か鋭利なものを飲み込んでいたはずだ。何らかの口外されたくない不都合が、あるいは事実があったのかーー。
久遠の優雅な所作と柔らかな口調は、どこか浮世離れしている。安藤がもつ唯一無二の存在感、醸し出す陰の気配が、久遠をより不気味たらしめる。心中の読めない役どころがつくづくハマる俳優だ。煙のように消えてもなんら違和感のない、つかみどころのなさ。安藤の芝居が、本作の「サスペンス」要素を静かに、確かに支えている。
■放送情報
『ボイスII 110緊急指令室』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:唐沢寿明、真木よう子、増田貴久、宮本茉由、中川大輔、藤間爽子
原作: Based on the series “Voice”,produced and distributed
by Studio Dragon Corporation and CJ ENM Co., Ltd,and written by Jinwon Ma.
脚本:浜田秀哉
音楽:ゲイリー芦屋
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:尾上貴洋、能勢荘志、戸倉亮爾 (日テレアックスオン)
演出:大谷太郎、久保田充、西村了(日テレアックスオン)、茂山佳則(日テレアックスオン)
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/voice2/
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