『ボイスII』増田貴久演じる石川が受けた新たな傷 “白塗り野郎”の目的と正体は?
身勝手な犯罪という意味では、純名(片山友希)も同様だ。対峙した石川(増田貴久)は、子どもを含む一般市民を守るため、過酷な道を選ばざるを得なかった。そうする以外に選択肢はなく、純名によって導かれてしまったようなものだ。
「ようこそ、こちら側に」。呪いのような言葉と口づけを残し、石川の目の前で絶命した純名。「寂しがりやなの」。子どもたちの列へと駆けだす前に残した言葉は、彼女の本心のようにも思える。どうせ死ぬならば、忘れ去られるよりも誰かの記憶に鮮烈に残りたいーーその手段として、石川は利用されたように思える。
純名の素性も、白塗り野郎と行動を共にしていた理由も何一つ分からないままだったが(今後、明らかになるだろうか)、忘れることのできない衝撃を視聴者の心に残した。誰より、石川の心に。
過去の心の傷が疼くところまで追い込まれつつある石川だが、表面上はいつもと変わらず任務にあたっていた。薬を服用していたことに気がかりが残るがーーバディとして、樋口はなにか感づくところがあったのだろう。「乗り越えろ」と、警察官としての在り方、厳しくもある言葉を、石川にまっすぐ告げる。けれど「本当にきついときには頼れよ」という言葉と瞳が心強い。こういうとき「兄貴のほうこそ頼ってくださいよ、俺を」と、微笑むのが石川だ。優しい男であるからこそ、頼ることも逃げてしまうこともできない。呼び戻された過去の傷と、そして新たに受けた傷。これらに対し石川がどう向き合っていくのかも『ボイスII』の重要なピースとなりそうだ。
迎えたラストシーン。塚田の魔の手は、あまりにも恐ろしく不気味な形で薫の弟に迫っていた。
■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。Twitter
■放送情報
『ボイスII 110緊急指令室』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:唐沢寿明、真木よう子、増田貴久、宮本茉由、中川大輔、藤間爽子
原作: Based on the series “Voice”,produced and distributed
by Studio Dragon Corporation and CJ ENM Co., Ltd,and written by Jinwon Ma.
脚本:浜田秀哉
音楽:ゲイリー芦屋
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:尾上貴洋、能勢荘志、戸倉亮爾 (日テレアックスオン)
演出:大谷太郎、久保田充、西村了(日テレアックスオン)、茂山佳則(日テレアックスオン)
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/voice2/
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