『東京リベンジャーズ』見事に原作を再構成 北村匠海が体現したタケミチの二面性

『東京リベンジャーズ』原作を見事に再構成

 『東京リベンジャーズ』は映画の幕の内弁当だ。アクションあり、役者のかっこいい魅力あり、青春あり、そして男のドラマが含まれている。作品の趣味趣向はあるにしろ、決定的に駄作と論じる人は少ないであろう、見事なエンタメ大作に仕上がっている。今回はそんな『東京リベンジャーズ』の魅力について迫っていきたい。

 『東京リベンジャーズ』は和久井健の原作を実写化した映画作品だ。冴えないフリーター生活をおくる花垣武道(北村匠海)は、電車との人身事故により命の危機を迎えるが、過去にタイムスリップしてヤンチャだった学生時代へと戻ってしまう。半グレ集団である東京卍會にかつての恋人である橘日向(今田美桜)を殺害されてしまう未来を変えるため、奔走していくストーリーだ。

 監督には『賭ケグルイ』シリーズや『映像研には手を出すな!』などの漫画原作の実写映画を多く受け持っている英勉が務める。英作品の特徴としては原作の魅力を活かした作品を作り上げること、そして役者の魅力が伝わるような作品を撮ることだろう。

 ともすれば漫画原作実写映画は批判的な意見を浴びやすい。これは漫画という視覚的なメディアから、実写映画という視覚的なメディアへと翻訳する際に、どうしても生まれてしまう違和感が大きな原因だ。現実の人間が漫画の内容を演じるという違和感を無くすために多くの作品が工夫を凝らしているが、その際に原作の魅力がなくなってしまうこともしばしばある。

 英作品は役者にオーバーアクトさせるなどの手法で、漫画らしさを活かしながら違和感をなくし実写化してきた。その典型が『賭ケグルイ』であり、時には顔芸とも称されるような派手な芝居と、極端なキャラクター表現によって、漫画やアニメの持つ魅力を再現している。そして多少物語が実写として荒唐無稽に感じても、役者の派手な演技や華美な演出で乗り切ってしまう力がある。

 その手法が役者の魅力を大きく増強している。漫画原作作品はシリーズファンの他にも、役者のファンが多く劇場へと足を運ぶ、一種のアイドル映画のような側面もある。時にはコスプレ大会と揶揄されやすいものだが、派手なリアクション演技で実写と漫画の中間のような存在感を発揮することによって、役者のそれまでのキャリアで披露した演技と一線を画した新しい一面を堪能することができる。

 それは『東京リベンジャーズ』でも発揮されている。主人公、花垣武道を演じた北村匠海は、フリーター時代は現代のどこにでもいる冴えない若者を演じており、弱々しい印象を与える。一方でタイムスリップした学生時代はヤンチャさもありながらも、どこか可愛らしく憎めない少年が成長していく姿を演じ分けている。二面性のあるキャラクターを違和感なく演じており、広い演技の幅を見せつけた。

 ほかの役者に関しても同様で、特に物語の鍵を握るマイキー役の吉沢亮や、ドラケン役の山田裕貴などは、普段の爽やかな好青年のイメージから一変し、恐ろしくも一本筋の通った一昔前のヤンキー像を演じている。原作を尊重し、役者の違った一面を見つけ、演出する英作品らしい演技プランだったのではないだろうか。

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