古川雄大、“完璧な王子感”で作品の世界観を成立 『女の戦争』は夏ドラマのダークホースに
古川の大きな武器のひとつが秀でたビジュアルであるのは言うまでもないが、このドラマで存分に発揮されているのが所作の美しさと女性と接する際の優雅なエスコートぶりだ。これは彼が主戦場としてきたミュージカルの現場で身につけたものだろう。哲也の上品なたたずまいや女性に対峙する姿を見ていると、古川が出演したミュージカル『マリー・アントワネット』のフェルセン伯爵や『黒執事』のセバスチャン・ミカエリスを想起させられる。
これまでのドラマ出演作では『エール』の“ミュージックティ―チャー”をはじめ、『下町ロケット』(TBS系)ヤタガラス編で、ライバル農家に「米なんて食えればいいんだよーう!」と笑いながら暴言を吐く青年や『トップナイフ-天才脳外科医の条件-』(日本テレビ系)のチャラめBarオーナー等、物語にアクセントをつける役割を担うことも多かった古川雄大。テレビドラマ初主演である本作は、突き抜けた優雅さとノーブル感を宿した演技で映像での新機軸となった。また、哲也役は、これまで映像で見たどのキャラクターよりも、何度か彼を取材した際に受け取った穏やかで静かな古川本人のイメージに近い。
話をドラマのストーリーに戻そう。バチェラー・哲也が参加者の誰を選ぶのか。そして、そもそもなぜ彼は殺されてしまったのか。3話冒頭でまた1人脱落する展開を考えると残る参加者は5名。個人的には父と母の写真を握りしめたデパート店員・志倉若菜(葵わかな)の動向が気になるところ。父親がベッド等を製造する町工場を経営していたということは、哲也の父親が君臨するホテル業界ともつながりが?……と、次第にさまざまな“裏の顔”が明るみになる女性たちの戦いに注目しながら“テレビ東京スピリッツ”満載の本作で、同年代俳優の追随を許さない王子感を醸す古川雄大の御曹司モードを堪能したい。
■上村由紀子
ドラマコラムニスト×演劇ライター。芸術系の大学を卒業後、FMラジオDJ、リポーター、TVナレーター等を経てライターに。TBS『マツコの知らない世界』(劇場の世界案内人)、『アカデミーナイトG』、テレビ東京『よじごじDays』、TBSラジオ『サキドリ!感激シアター』(舞台コメンテーター)等、メディア出演も多数。雑誌、Web媒体で俳優、クリエイターへのインタビュー取材を担当しながら、文春オンライン、産経デジタル等でエンタメ考察のコラムを連載中。ハワイ、沖縄、博多大吉が好き。Twitter
■放送情報
サタドラ『女の戦争~バチェラー殺人事件~』
テレビ東京系にて、毎週土曜23:25~放送
動画配信サービスParaviにて、毎話1週間先行配信(予定)
出演:古川雄大、葵わかな、トリンドル玲奈、寺本莉緒、尾碕真花、北原里英、成海璃子、真飛聖、松大航也、喜多乃愛、芹沢瞬、羽場裕一
脚本:山岡潤平
演出:北川瞳、安見悟朗
音楽:福廣秀一朗 平野真奈
主題歌:Co shu Nie(コシュニエ)「undress me」(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)※Co shu Nieの「o」はウムラウト付きが正式表記
チーフプロデューサー:稲田秀樹(テレビ東京)
プロデューサー:田中智子(テレビ東京)、高石明彦(The icon)、古林都子(The icon)
制作協力:The icon
製作著作:テレビ東京
(c)テレビ東京
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