『TOKYO MER』中条あやみ、迫真の演技で命と向き合う 喜多見が見抜いた比奈の資質
事故は日常に潜んでいる。1人でも多くの命を救うため、彼らが選んだのは「今、ここ」で助けること。初回に続いて『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)第2話も出動場面からスタートした。
第2話では研修医の弦巻比奈(中条あやみ)にスポットライトが当たった。チーフの喜多見幸太(鈴木亮平)を中心に、早くもチームとしての一体感が出てきたTOKYO MER。その中で1人だけ乗り切れずにいる比奈。落下事故の現場でクラッシュ症候群の患者を見逃してしまったことで自責の念に駆られる。
日々、命と向き合う医療従事者は、どうやってモチベーションを保てばよいのだろうか? 鉄骨を吊り下げたクレーンの下のオペは、並の神経の持ち主なら耐えられないだろう。比奈が打たれ弱いのではなく、喜多見たちがタフなのだ。これまでに習った常識と実際に起きていることのギャップに思考停止状態に陥る比奈。目の前の現実に気持ちが追い付かない。追い討ちをかけるように、厚労省医政局長の久我山秋晴(鶴見辰吾)は、TOKYO MERの解体を目論む白金厚生労働大臣(渡辺真起子)の命を受けて「MERの一番弱いところ」である比奈を狙い打ちにする。比奈の失点を意図的にマスコミに漏洩し、報道を受けて医療安全委員会に比奈の処遇が委ねられる。
「なんで私がMERに選ばれたのでしょうか?」と、もう辞めたいと肩を落とす比奈に、上司の高輪千晶(仲里依紗)が言った台詞が素晴らしかった。「ミスしたんだったら見返してやれば? 自分を」「自分の弱さを見つめることも大事だけど、とことんやりきってからじゃないと、本当に弱くなる」「自分のふがいなさに腹が立ってるんだったら、まだやりきってないってことだよ」。失敗して落ち込んだり、前向きになりたいけれどなれない時に、最初にやることはちゃんと立つこと。千晶が口にしたのは、比奈の心にのしかかった重しを取り除く魔法の言葉だった。偶然ではなく、喜多見と同じように「先輩ぶってみました」と冗談めかす千晶の優しさが沁みた。
比奈のMER配属を希望したのは喜多見で、喜多見は比奈の医師としての資質を見抜いていた。「あなた以外に今、その人を救える人はいませんよ」。覚悟を決めた比奈は事故現場での執刀に踏み切る。目の前の命を救うために、何をしなければならないか。比奈の臆病さは、どうすれば患者を助けられるか理解し、認識するところから来ている。しかし、喜多見が見込んだのは比奈の判断力だけではなかった。