『スーパーノヴァ』で感じる人の温かさ コリン・ファース×スタンリー・トゥッチの名演堪能
リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、蛍を見に行きたい島田が『スーパーノヴァ』をプッシュします。
『スーパーノヴァ』
東京では、雨と暑さが続いています。外に出てもすぐに汗をかいてしまいますし、夏の訪れを感じずにはいられません。外に出たい気もするが、出たら出たで大変……そんな時こそ映画館です。空調も完備されているし、少しの間、快適な環境でゆっくりと映画の世界に浸る、ということが、心なしかこれまで以上に贅沢に感じられます。
今週オススメしたい作品は、コリン・ファースとスタンリー・トゥッチという2人の名優がカップルを演じる『スーパーノヴァ』です。タイトルは、「超新星」という意味ですが、本作においては、カップルの愛の輝きをも指します。
ピアニストのサムと作家・タスカーという長年連れ添ってきたカップルを描く本作。20年以上の付き合いということで、もはや安泰にも思えるのですが、タスカーの認知病の進行により、様々な現実に直面していきます。
あらすじだけ聞くと、とてもシリアスな作品に思えますが、心温まったり、思わず笑ってしまうような場面も多いロードムービーです。イギリス湖水地方が舞台ということで、夏の今の時期にぴったりな清涼感も味わうことができます。また、音楽部分など細かいディテールへのこだわりもうかがえ、サムとタスカーという2人だけの世界を壊さずに見守るような作りがどこか新鮮にも映りました。監督も恐らくそれは意図していた部分なのではないかと思います。決してセリフで語りすぎることがなく、ミニマルに展開していく静謐な一作です。