『おおかみこどもの雨と雪』に見る、細田守の細部へのこだわり 宮崎あおいら声優にも要注目
『金曜ロードショー』(日本テレビ系)では、スタジオ地図・細田守監督最新作『竜とそばかすの姫』公開記念として、7月2日から「3週連続 細田守SP」を放送。第一夜となる7月2日は『おおかみこどもの雨と雪』を放送。“おおかみおとこ”と人間の母親・花の間に生まれた、“おおかみこども”の雨と雪の成長を描いた本作は、子を持つ親なら涙すること必至。放送を前に、物語の見どころをおさらいする。
役者の奇をてらわない演技が物語に引き込む
細田守監督は、2006年公開の『時をかける少女』以降、『サマーウォーズ』など、監督した5作品すべてが日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞したほか、前作『未来のミライ』では米国アカデミー賞長編アニメーション映画賞にノミネートされるなど国内外で高い評価を得ている。2012年に公開された『おおかみこどもの雨と雪』は、自身のアニメーション映画制作会社である「スタジオ地図」を立ち上げて最初の作品で、細田自身が脚本に携わり始めた作品でもある。
アルバイトをしながら大学に通っていた天涯孤独の“花”は、“おおかみおとこ”と恋に落ち、2人の子どもを産み、姉には“雪”、弟には“雨”と名付けた。おおかみおとこの死によってシングルマザーとなった花は、2人の子どもを養うために働くが、やがて2人は父親から受け継いだ狼に変身する能力を発揮するようになり、それを知られないため都会を離れて田舎の古民家に移り住む。里の人たちに見守られながら、手探りで子育てに奔走する花。雨と雪は学校にも通い始め、周りとは違う自分に戸惑いながら成長していく物語だ。
おおかみおとこを大沢たかお、花を宮崎あおい、雪を黒木華、雪の幼年期は大野百花、雨を西井幸人、雨の幼年期を加部亜門が演じ、菅原文太、林原めぐみ、麻生久美子などベテランが脇を締め、教師役に染谷将太や雪の同級生役に上白石萌音なども出演している。
大沢は、ニホンオオカミの末裔であること以外名前も分からない、雨と雪の父親のミステリアスな存在を、見事に表現。凜としてやさしい声が、おおかみおとこという孤高の存在に説得力を持たせている。また、花を演じた宮崎あおいは、孤軍奮闘するシングルマザーをリアルに表現した。子どもたちを叱るシーンなど実に自然体で、母親とはこういうものだと納得させられる。役者たちの奇をてらわない演技が、観る者を物語に引き込んでくれる。