『おかえりモネ』菅波と朝岡は百音の“運命の人”? 西島秀俊と坂口健太郎が果たした役割

『おかえりモネ』菅波と朝岡が果たす役割

 もう1人、百音のメンター的な存在が朝岡(西島秀俊)だ。「運命の相手というのは、こちらの心が揺らいでしまいそうになると、突然現れたりもするものです」のナレーションに恋愛ターンを予想したのは勇み足で、朝岡と一緒に来たのは大学教授の中本(若尾義昭)だった。年輪気候学が専門の中本は、樹木の年輪から気候の変化を探っており、近く切り倒されるヒバの木からサンプルをもらいたいと頼みに来ていた。

 過去だけでなく300年後の気候予測も不可能ではないと話す中本に、驚きを隠せない百音。「300年後、いいじゃないですか!」。サヤカ(夏木マリ)も乗り気だ。朝岡はさらに若い同僚も連れていた。ウェザーエキスパーツに所属する気象予報士の野坂碧(森田望智)と内田衛(清水尋也)だ。2人はフィールドワークのために登米にやってきた。

 大雨による水害を減らすために樹木のデータから山の貯水量を把握しようとする碧。かたや衛は、花粉症の警報アプリを作ろうとして花粉の散布量を測定する。気象予報士試験に一発合格の秀才で、風を読むのもすごく上手なのに「めちゃくちゃひどい花粉症」という衛のキャラ設定が可笑しい。気象予報士の2人は具体的な目標を持っていて、それが仕事のモチベーションにもなっている。

 碧と衛は、漠然と気象予報士を目指していた百音に衝撃を与えたが、それで終わらなかった。上司の朝岡は碧のデータに足りない部分を指摘し、衛には気象予報のリードタイムを教える。通常の仕事でリードタイムは納期までの時間で短い方が良いとされるが、「気象にまつわる正確な数字もしくは時間を売る」気象予報では、河川が氾濫するまであるいは花粉が飛散するまでの時間を意味する。朝岡は気象予報士の仕事は「時間を生み出すことで、安全、快適、利益を生み出すこと」であると話す。

 体験学習で突然の雷雨に見舞われた時、朝岡の予報に従って圭輔(阿久津慶人)を助けたこと。サヤカが話した「山は自然のダム」という言葉。散りばめられた伏線が百音の中でつながっていく。百音に足りていなかったのは「資格を取ってからのビジョン」で、朝岡はそれを具体的な形にして取り出す役目だった。気象予報士の世界に触れた百音は、どんな答えを出すだろうか?

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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