『コントが始まる』『街の上で』など話題作で存在感 古川琴音は一瞬で空気を変える女優だ

古川琴音は一瞬で場の空気を変える女優だ

一瞬で場の空気を変える声

『街の上で』(c)『街の上で』フィルムパートナーズ

 『コントが始まる』でのつむぎはセリフが少ないが、一方で古川琴音の“声の特異さ”に気づく。抜群に声がいいから、一言一言に重みが出るのかもしれない。その声のよさは、現在公開中の映画『街の上で』でも存分に発揮されている。例えば、終盤で見せる、ある“怒り”の演技。あるべきものがなくなっている理不尽に怒りを示し、「存在の否定じゃんか」と古川琴音演じる田辺冬子は発する。声もそうであるし、表情もそうであるし、古川琴音という女優は“一言”、“一瞬の表情”で場の空気をガラッと変えてしまえる。『街の上で』ではほとんど3つのシーンにしか登場しない彼女だが、それでも印象的な表情やセリフがあるのは、古川琴音がそうした多くのスペックを有しているからだ。

菅田将暉 『虹』

 “表情で演技ができる人”であるというのは、菅田将暉が歌う「虹」のミュージックビデオを見ていてもひしひしと実感する。MVゆえにもちろんセリフはないけれど、子どもをもつ母親という若くして難しいキャラクターを、グラデーションのある自然な笑顔と出産直前の痛みとのギャップによって演じ分けながら映像に“生”を刻んでいる。ここでもまた歌い手の菅田将暉自身が渾身の演技を見せているわけだが、先輩俳優にまったく引けを取らず対等に存在感を見せている。

 古川琴音の今後の出演作品として、濱口竜介監督の映画『偶然と想像』が控えている。世界三大映画祭のベルリン国際映画祭で審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞した期待作だ。古川琴音は3編あるなかの1編目で主役を演じているという。ダイアローグと突発的な行動/感情を奥に秘めた無表情が醍醐味の濱口映画において、彼女の声や表情がどう活きてくるのか。間違いなくぴったりと合致しているのだと思うが、そのハマり具合に乞うご期待だ。ドラマや映画での彼女の活躍が見逃せない。

■原航平
ライター/編集。1995年、兵庫県生まれ。Real Sound、QuickJapan、bizSPA!、芸人雑誌、logirlなどの媒体で、映画やドラマ、お笑いの記事を執筆。Twitterブログ

■放送情報
『コントが始まる』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜22:54放送
出演:菅田将暉、有村架純、仲野太賀、古川琴音、神木隆之介
脚本:金子茂樹
演出:猪股隆一、金井紘(storyboard)
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:福井雄太、松山雅則(トータルメディアコミュニケーション)
主題歌:あいみょん「愛を知るまでは」(unBORDE/Warner Music Japan)
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/conpaji/
公式Twitter:@conpaji_ntv

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる