若葉竜也×穂志もえか×古川琴音×萩原みのり×中田青渚が語り合う 映画『街の上で』座談会

映画『街の上で』キャスト5人による座談会

 東京・下北沢を舞台に、1人の男性と4人の女性の出会いと別れを描いた群像劇『街の上で』が4月9日より公開されている。『愛がなんだ』『あの頃。』の今泉力哉監督が漫画家・大橋裕之を共同脚本に迎え制作した本作に集結したのは、下北沢の古着屋で働く主人公・荒川青役の若葉竜也を筆頭に、青が出会う4人の女性を演じる、川瀬雪役の穂志もえか、田辺冬子役の古川琴音、高橋町子役の萩原みのり、城定イハ役の中田青渚だ。

 当初、2020年5月1日に公開されるはずだった本作。新型コロナウイルス感染症の影響で約1年後に公開を迎えることになったが、リアルサウンド映画部ではメインキャスト5人へのインタビューを2020年2月に行っていた。5人が作品や今泉監督への思いを語ったインタビューを、約1年越しの公開となったこのタイミングでお届けする。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

若葉竜也×穂志もえか×古川琴音×萩原みのり×中田青渚が語り合う 映画『街の上で』インタビュー

当初、若葉竜也演じる荒川青は何もしゃべらない設定だった?

ーー若葉竜也さんは『愛がなんだ』に続いての今泉力哉監督作出演となります。どのような経緯で出演することになったんですか?

若葉竜也(以下、若葉):一番最初に話を聞いたのは、ちょうど『愛がなんだ』のトークイベントがあった日でした。その日、マネージャーから「今泉監督から映画の話が来てる」という話を聞いて、プロットを読ませてもらって。で、イベントがあったその日の夜には今泉さんに「台本が出来たら送ってください」と答えました。

ーー今泉監督本人からの打診だったと。

若葉:そうですね。今泉さんと『愛がなんだ』を一緒にやってから、また一緒にやりたいなという思いはすごく強くありました。主演というのは後で知ったんですけど、僕の中ではそれはあまり関係なく、今泉さんと一緒に映画を作れることがうれしかったです。

ーー主演ということで特に気負うこともなく?

若葉:ワンシーンの出演でも心持ちは一緒なので。特別気合を入れてということはなかったですね。

ーー穂志さんも『愛がなんだ』に続いての今泉組参加となりました。

穂志もえか(以下、穂志):実は監督本人から「今度、若葉竜也くんで映画を撮るんだけど、どう思う?」という話をされていたんですよ。それで台本をいただいて、「めっちゃ面白いと思います!」とお答えしたら、「実は雪役をお願いしようと思ってるんだけど」と言っていただいて、ビックリしました。

ーー事務所を通してではなく最初は個人的にそういう話があったんですね。

穂志:そうなんです。うれしかったですね。これは今泉さんもおっしゃっていたんですけど、『愛がなんだ』のときは、穂志のパートに関してはお互い消化不良じゃないですけど、もうちょっとやりたかったという思いが共通していたので、今回それが実現したかたちになりました。

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ーー『愛がなんだ』には若葉さんと穂志さんの共演シーンがありませんでしたよね。

若葉・穂志:ないですね。

穂志:違うお仕事で一度ご一緒したことはあったんですけど、がっつり共演したのは今回が初めてでした。

若葉:穂志さんはすっげえ堂々としてると思っていたんですけど、意外と緊張しいで、めちゃくちゃ緊張してるなっていうのが第一印象でしたね(笑)。でも臆病であることは僕はいいことだと思っているので、その空気感が冒頭の青と雪のシーンにちゃんと表れているといいなと思いながら演じていました。

穂志:私は、若葉さんはもともとすごく尊敬している俳優さんの1人だったので、実際に現場でご一緒したときに「すご! 若葉竜也が前にいる」と思って(笑)。

若葉:なんだそれ(笑)。

穂志:お芝居で負けないようにしようと思いました。

ーー古川さん、萩原さん、中田さんの3名は、今回が初の今泉組ということで。

古川琴音(以下、古川):本当に自由に演じさせていただきました。私が演じた冬子は恋人が亡くなった設定なんですけど、亡くなり方によって気持ちの流れが変わってくるだろうなと思ったので、本読みのときに今泉さんに相談したんです。そしたら一緒に考えてくださって、最終的に結論は自分で決めていいよと委ねてくださって。相談したときには真摯に考えてくださるし、カメラの前ではとても自由に演じさせていただけたので、楽しかったです。

萩原みのり(以下、萩原):私も今泉さんの作品に出演したかったので、「やっと今泉組だ!」って思いました。ミーハーみたいな感じで、撮影のたびに「私いま今泉組にいる!」と思っていました(笑)。

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中田青渚(以下、中田):私はすごく緊張しました。今泉監督の映画って、ちょっと生っぽいというか、他の映画よりもリアルな印象があったので、自分がその雰囲気から浮いてしまうことが怖くて。だから自分的にはすごく緊張した現場でした。

古川:独特の間というか、独特の時間があるような気はしました。それが全然嫌じゃなくて、好きな感じの時間で。今泉監督にお会いする前は、すごく変わった人なんじゃないかなと思っていたんです。実際にお会いして、変わってる方だな……とは思ったんですけど(笑)、それはいい意味で変わっているというか、映画に流れている空気感をまとったような人だなと思いました。

ーー話を聞く限り、ある程度の“自由さ”があったようですが、演じる役柄についても各々考える部分があったんですか?

若葉:僕に関しては一番最初、役名が“荒川青”じゃなくて“荒川土地男(トチオ)”っていう名前でしたから(笑)。最初に今泉さんとどういう映画にしていくか話したときに、「何もしゃべらない主人公が、いろんな人たちが揉めたりしてるのに巻き込まれていくだけの映画を撮りたい」というようなことを言っていて。「それ面白いですね」って言って、そのまま進んでいったんですけど、いつの間にか青がめちゃくちゃ喋ってたんですよね(笑)。

一同:(笑)

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若葉:当初の役の設定とは正反対になっていたんですけど、クランクインのちょっと前ぐらいに、今泉さんが「ただ、無口っていう設定は残しておきたいんだよね」って言い出して(笑)。なので、そこそこあるセリフ量をおしゃべりに見えないようにやらなきゃいけないところが、個人的にはなかなか大変でした。

ーーそれは大変ですね(笑)。

若葉:でも、実は意外と単純なところに答えがあって。青って、ほぼ100%リアクションなんですよね。なので、僕は自分から何か一石を投じる芝居が今回ひとつもないんです。それを100%できる映画ってなかなかなくて。今回やってみたかったことに挑戦できたのは、うれしかったですね。長ゼリフも全部リアクションでやったりしたので、自分としても新しい領域に行けた感覚があります。

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