『オーバーロード』続編は『鬼滅』に匹敵する海外人気が後押し? “なろう”発アニメの現在地

 なお『オーバーロード』の原作はKADOKAWAによって書籍が発売されているが、元は2010年に小説投稿サイトのArcadiaで連載が始まった。その後になろう(以下、なろう)でも掲載が始まったという流れだが、そのなろう発のアニメが毎クール放送されているのはアニメファンならご存知の通り。

 中でも目を引くのは2021年を「転スライヤー」と称して関連作をずっと展開中の『転スラ』こと『転生したらスライムだった件』。冬には『転生したらスライムだった件 第2期』第1部、春にはスピンオフ『転生したらスライムだった件 転スラ日記』、そして夏には『転生したらスライムだった件 第2期』第2部と途切れるなく『転スラ』が放送され続けている。“イヤー”を謳うだけに、秋には劇場版などの展開が待っているかもしれない。

 そのほかにもアニメシーンにおけるなろう原作アニメは話題は多い。前期は有名原作の『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』が高クオリティのビジュアルを中心に絶賛され、今期は『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』、『聖女の魔力は万能です』、『蜘蛛ですが、なにか?』第2クールと女性主人公の作品が集中して放送中だ。さらに今後に目を向けると悪役令嬢や追放(あるいはざまぁ)といった近年のなろうを席巻したジャンルのアニメ化作品も控えている。

 一方、なろうで一時期の悪役令嬢や追放ほど決定的に人気になっているジャンルは現在ないが、現実世界にファンタジー要素を追加したローファンタジーなどはその兆しのひとつ。例えばすでにKADOKAWAによって書籍化されコミカライズも行われている『Dジェネシス ダンジョンが出来て3年』であれば、地球の世界各地にモンスターが徘徊するダンジョンが発生し、主人公たちがその探索者として活動するという内容だ。

 2013年の『ログ・ホライズン』以来、多くのなろう原作小説がアニメ化されており、最近では1クールに数本放送されているのが当然の状況が続いている。さらになろうでは日々新作が投稿され、多くの読者の目に触れている状態だ。それを考えると、今後もしばらくは『オーバーロード』や『転生したらスライムだった件』といった定番作品に先に示したような新たなジャンルのものを交えながら、なろう発のアニメが生まれ続けるだろう。

■はるのおと
アニメやマンガ、ゲーム、デジタルガジェットに関するライター・編集。週に65本くらいTVアニメを楽しみながら、たまにテキストを書いています。Twitter

■放送情報
TVアニメ『オーバーロードIV』
原作:丸山くがね (『オーバーロード』/KADOKAWA刊)
キャラクター原案:so-bin
監督:伊藤尚往
シリーズ構成・脚本:菅原雪絵
キャラクターデザイン:田﨑聡
声の出演:日野聡、原由実、上坂すみれ、加藤英美里、内山夕実、加藤将之、三宅健太
アニメーション制作:マッドハウス
(c)丸山くがね・KADOKAWA刊/オーバーロード4製作委員会
公式サイト: http://overlord-anime.com/
公式Twitter:@over_lord_anime

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