『Mr.ノーバディ』は韓国映画『甘い人生』を意識した? イリヤ・ナイシュラー監督が語る

『Mr.ノーバディ』が影響を受けた韓国映画

 6月11日に公開される『Mr.ノーバディ』の監督イリヤ・ナイシュラーが、本作に影響を与えた韓国映画について語った。

 妻や息子からも相手にされない地味でダメな男・ハッチ(ボブ・オンデンカーク)が、街のチンピラに絡まれ、謎の集団に自宅を襲撃されたことで、何者でもなかった男の本能が覚醒、やがて、ロシアンマフィアを巻き込んでの銃撃戦、カーチェイス、想像だにしない方向へ物語が派手にエスカレートしていく。どこにでもいる男の怒りが解き放たれ、苛烈な道へと足を踏み入れていく本作だが、全編一人称で撮られた『ハードコア』などを手がけてきたナイシュラー監督は、“韓国スリラー”にルックやフィールをよせて作り上げたことを明かした。

 ナイシュラー監督は「韓国のスリラーはアクションを包み込むような特別にロマンチックなムードを捉えていて、典型的なストーリーポイントに頼るのではなく、やや暗めのヒーロー、大抵の場合アンチヒーローが主役。脚本家・デレク・コルスタッドと私は韓国映画の大ファンで、脚本を練り直している間、ボブに何本かの作品を見せて私の意図を理解してもらったのを覚えている。キム・ジウン監督の『甘い人生』(2005年)は強烈な主演の演技と、シンプルでありながら影響力のあるストーリーが組み合わされているため、最初にムード作りの参考にした作品だった。生々しいバイオレンスとアクションシーンはエンターテインメントとして十分に洗練されていると感じた」と語り、脚本家コルスタッドとも韓国映画を通して本作を綿密に構成していったそうだ。

 また、『ヘレディタリー/継承』(2018年)や『ミッドサマー』(2020年)などのヒット作を手がけ、本作が初のアクション作品となる撮影監督のパヴェウ・ポゴジェルスキも、監督と韓国映画の話になり、「ヒーローをアンチヒーローにしたり、ヒーローとは何かという線引きを曖昧にしたりした。それが面白いと思ったし、我々はそれを絶妙な手法で描写することに成功したと思う」と振り返っており、製作陣のビジョンを統一させたのは韓国映画だったことを物語る。キム・ジウンといえば、ガンアクションへの強いこだわりで世界的に高い評価を受ける監督。『甘い人生』は、裏社会に生きる男が、図らずもボスを裏切ってしまったことで起こる壮絶な闘いを描いた物語で、拷問シーンや銃撃戦が展開される。本作でも、緻密な銃撃戦やアクションが繰り広げられる。

イリヤ・ナイシュラー監督

■公開情報
『Mr.ノーバディ』
6月11日(金)全国公開
監督:イリヤ・ナイシュラー
脚本:デレク・コルスタッド
出演:ボブ・オデンカーク、コニー・ニールセン、RZA、マイケル・アイアンサイド、クリストファー・ロイド
配給:東宝東和
2020/アメリカ/原題:Nobody
(c)2021 Universal Pictures
公式Twitter:@MrNobody_JP
公式Instagram:@universal_eiga
公式Facebook:@universal.eiga

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