『タイタニック』はパニックアクションとしても超一級品! 映画史に残る撮影時の伝説とは

『タイタニック』撮影時の伝説の数々

 そして落下シーンもさることながら、「水」の撮影も過酷を極めた。何せ船が沈没する話なので、水に襲われるシーンは欠かせない。大量の水を使って、実際にセットを破壊しながら撮影が行われた(例によって大量のスタントマンたちが水に呑まれた)。水から逃げる人々の顔がマジなのは、限りなくマジに近い状況で撮影されているからだ。もちろんキャメロンはここでもカメラを担いで撮影に参加。自分も水の中に潜り続けた。撮影風景の写真を見ると、キャストと一緒に水に浸かっている姿が何枚も確認できる。キャストも体を張ったが、監督も体を張っているのだ。極めつけはタイタニック号の船長が濁流に飲まれるシーンだろう。スタントマンが立ったセットの中に、227トンの水がガラスを突き破って入ってくる。このシーンのカメラはキャメロンが担当した。完全防水装備をしたキャメロンがスタントマンと一緒に水に呑まれ、壁に全身を叩きつけられた。そのおかげでド迫力のシーンに仕上がっているが、これも無茶苦茶な話である。

 前編の恋愛模様と同様に、後編の沈没シーンの迫力は公開から20年以上経っても色あせない。その秘訣は単純で、「本当にやっているから」である。しかも全ての発案者である監督・脚本を担当したキャメロン本人が、完璧な画を求めてパニックのド真ん中に突っ込んでいるのだ。迫力が出るのはもちろん、物語とアクションが完璧に合致して、1本の映画として最大限に盛り上がるようになったのも当然である。限りなくマジに近い状態で撮影された、ド迫力かつ完璧なアクションを是非とも楽しんでほしい。こんな映画は、これから先もまず出てこないと断言できる。必見だ。

■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿しています。最近、会社に居場所がありません。Twitter

■放送情報
『タイタニック』
日本テレビ系にて放送
第一夜:5月7日(金)21:00〜22:54放送
第二夜:5月14日(金)21:00〜22:54放送
監督・製作・脚本・編集:ジェームズ・キャメロン
出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、ビリー・ゼーン、キャシー・べイツ、ビル・バクストン
(c)1997 Twentieth Century Fox Film Corporation and Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

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