『まめ夫』とわ子の“奇妙さ”の正体とは 松たか子が坂元裕二作品で体現するヒロイン像

坂元裕二作品にみる松たか子のヒロイン像

 しかし、最大の謎に対するアンサーは大豆田とわ子自身も分からないようで、「ひとりで生きていけるけど、○○○……」「○○○の中身は……分かりません」と首を傾げている。第1話にして早々に「(網戸を)直してくれる恋人を作ればいいんじゃない?」と娘から提案されていたものの、男性に依存するようなタイプには見えない。一人で焼き肉も行けるし、観覧車も乗れるし、温泉にも行ける大豆田とわ子は、頑張れば大嫌いな網戸の修繕もできるはずだ。

 ここで気になってくるのが、本作のキャッチコピー「ひとりで生きたいわけじゃない」。そして「ひとりで生きたいわけじゃない」は、大豆田とわ子だけではなく、コロナ禍で“一人”または“個”での行動を余儀なくされている私たちも感じている想いだ。一人で食事もできるし、一人の環境で仕事もできる。休みの日も過ごせることを、この2年足らずでなんとなく学んだ。けれど、その度に「ひとりで生きていけるけど……」を心の中で繰り返している。作中でコロナを感じさせる描写はないものの、破天荒な人生だと思われがちなバツ3大豆田とわ子の願いはすごく突飛なものではなく、むしろ現在の私たちにも通ずるような気がしてならない。

 ……と予想してみたが、どのような展開になるか分からないのが大豆田とわ子。正反対に生きるかごめの想いを、一言「そう」と受け止める彼女は今まで見たことのない顔をしていた。物語は折り返し地点を迎えるが、大豆田とわ子については未だ底知れなさを感じている。

■明日菜子
毎クール必ず20本以上は視聴するドラマ好き。Twitter

■放送情報
『大豆田とわ子と三人の元夫』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:松たか子、岡田将生、角田晃広(東京03)、松田龍平、市川実日子、高橋メアリージュン、弓削智久、平埜生成、穂志もえか、楽駆、豊嶋花、石橋静河、石橋菜津美、瀧内公美、近藤芳正、岩松了ほか
脚本:坂元裕二
演出:中江和仁、池田千尋、瀧悠輔
プロデュース:佐野亜裕美
音楽:坂東祐大
制作協力:カズモ
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/mameo/
公式Twitter:@omamedatowako

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