イベントはOK、オリンピックもまだやるつもり、でも「映画館には休業要請」の怪

 昨年に続いて、今年も東京、大阪、京都、兵庫の4都府県では緊急事態宣言が発出された状態で突入したゴールデンウィーク。先週末の動員ランキングは、『名探偵コナン 緋色の弾丸』が土日2日間で動員35万6000人、興収4億5200万円で3週連続1位に。2位に『るろうに剣心 最終章 The Final』、3位に『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、というトップ3の順位は変わらず。そして4位は公開から半年以上が過ぎてここにきてまた相対的に順位を上げてきた『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』。上位作品の顔ぶれが固定している理由の一つは、この時期に公開されているはずだった『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』や『アーヤと魔女』といった作品が次々と公開延期となったからだ。今後の公開予定作品にも、『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』『ゴジラvsコング』など公開延期が決定した作品がいくつもある。

 映画興行がまだ「平常」におこなわれていた2年前のゴールデンウィークのピーク期の数字と比べて、総じて約30〜40%ほどの減少幅。マイナス要素としては緊急事態宣言該当地域の休館分だけでなく、それ以外の地域でも外出そのものを取り止めるという動きもあったに違いない。一方で、東京の近県の映画館では、都内からの観客の流入という現象も起こっていて、一体なんのための緊急事態宣言なのかわからない状況となっている。

 そもそも、5月6日(木)に全興連(全国興行生活衛生同業組合連合会)が発表した声明文(https://www.zenkoren.or.jp/wp-content/uploads/2021/05/【全興連】声明文5月6日.pdf)にもあるように「興行場の観客席側での感染事例は1件も確認されていない」ことが認知されているのならば、現在の映画館に通達されている休業要請の目的は「人流の抑制」にあると考えられる。同声明文は、その目的が、特に東京近県の映画館では逆効果になっているという指摘もしている。

 そんな全興連の訴えも虚しく、5月7日(金)、小池百合子東京都知事は、5月31日までの延長が決まった緊急事態宣言において政府が新たに示した緩和策とは異なり、百貨店、ショッピングセンター、映画館などの大型施設への休業要請を続行するという独自の対策を発表した。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「興行成績一刀両断」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる