神木隆之介、三吉彩花らが声で挑む“恋愛指南物語” イヤードラマ『恋侍』の魅力を紐解く

神木隆之介と三吉彩花の高度な芝居

 21世紀を生きる恋侍の落合昌保が、高校時代のマドンナ・大崎夏帆と偶然再会することから物語が始まるイヤードラマ『恋侍』。女性への知識も経験もない中で恋愛道を突き進む、主人公の落合を演じるのは神木隆之介だ。爽やかで柔和な声の心地良さはもちろん、シーンに合わせて声に芝居をのせていく技術は、神木の子役時代からのキャリアの長さを物語る。俳優業での活躍はもちろんのこと、『千と千尋の神隠し』(2001年)、『ハウルの動く城』(2004年)、『君の名は。』(2016年)などの長編アニメーション映画で高い評価を得てきただけに、イヤードラマでも存在感溢れる芝居を見せてくれた。

 『恋侍』は声だけで成立するドラマである。普段、見慣れたテレビやスクリーンのようにキャラクターが動き、動作や表情が見えるわけではない。そこにあるのはナレーションとセリフ、時折混じる効果音や環境音のみ。役者はその中で、登場人物がどんなことを考えているのか、どんな状況で何をしているのかを“自然”に表現しなくてはならないのだ。加えて登場人物同士の会話が始まれば、相手とのやりとりもある。一人芝居と二人芝居を交互に行き来するような複雑な演技でも、状況に合わせてよりリスナーにわかりやすく、聞いていて心地よいリズムで語らなければならない。こうした高度な芝居でも、声の表情をコロコロと変え、まるで情景が脳裏に浮かんでくるようないきいきとした世界を作り上げられることこそ、神木が長年にわたり評価されてきた所以だろう。

 そして神木の相手役となる大崎を演じたのが、女優として頭角を現しつつある三吉彩花だ。とある“秘密”ゆえに1人2役を演じた三吉は、艶やかな声で、神木演じる落合を翻弄するのだ。(Nana Numoto)

■SYO
映画やドラマ、アニメを中心としたエンタメ系ライター/編集者。東京学芸大学卒業後、複数のメディアでの勤務を経て、現在に至る。Twitter

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

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『恋侍』
出演:神木隆之介、三吉彩花、今井隆文・小倉久寛
脚本:柴崎竜人
OP&EDテーマ:TAKE(FLOW)

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