新田真剣佑が近づける視聴者と作品の距離 『イチケイのカラス』恋と仕事の“分岐点”を学ぶ
しかしもうひとつのテーマが“分岐点”であったことに立ち返ると、その理由は見えてくる。坂間に想いを寄せている石倉が、初恋の相手である恭子との再会で心揺れたり、回想シーンで描かれる高校時代の石倉と恭子の、お互いに告白できずに飲み込んでしまったこと。さらには事件の発端となった半年前の公演を中止するか否かの決断に迫られていた槇原など、ほとんどの登場人物が「Yっている(もしくはYっていた)」姿が積み重ねられた結果、物語が構築されていく。そして、ふたつの裁判が“併合”されることによってたくさんの“分岐”が一気に集約される。この対比を見せるための策であるならば、この“前代未聞の併合審理”というのも、ひとつの正しい選択肢だったといえるだろう。
■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter
■放送情報
『イチケイのカラス』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:竹野内豊、黒木華、新田真剣佑、山崎育三郎、桜井ユキ、水谷果穂、中村梅雀、升 毅、草刈民代、小日向文世
原作:浅見理都『イチケイのカラス』(講談社モーニングKC刊)
脚本:浜田秀哉
音楽:服部隆之
裁判所監修:水野智幸(法政大学法科大学院)
プロデュース:後藤博幸、有賀聡、橋爪駿輝
編成企画:高田雄貴
演出:田中亮、星野和成、森脇智延、並木道子
制作協力:ケイファクトリー
制作・著作:フジテレビ第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/ichikei/
公式Twitter:@ichikei_cx
公式Instagram:@ichikei_mimamoru