堤真一、満島真之介らの名演が光る忘れられない回に 『青天を衝け』血洗島・青春編が終了

堤真一、満島真之介らの名演が光る忘れられない回に 『青天を衝け』血洗島・青春編が終了

 大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)は第12回「栄一の旅立ち」で、血洗島・青春編を締めくくる序盤のクライマックスを迎えた。栄一を演じる吉沢亮をはじめ、それぞれの俳優の名演が光る忘れられない回となった。

 その一人が、横浜焼き討ち計画の実行を目前に再び江戸を訪れた栄一と喜作(高良健吾)が出会う円四郎(堤真一)だ。栄一の「おれはやっぱりこの世をぶっ潰さねばならねぇ」という生まれつきの身分に縛られない“でっけぇ志”を聞き、円四郎は2人を家臣として仕えてみてはどうかと誘う。喜作は故郷にいる仲間や家族を理由に話を断るものの、去り際に円四郎が一橋家家臣であることを名乗ると栄一と揃って驚きを隠せない表情に。この出会いが栄一と慶喜(草なぎ剛)を繋ぐきっかけとなる。

 面白いのはここで円四郎の「そりゃおかしれぇや」という相槌に栄一がはてなを浮かべていること。それもそのはず。「おかしれぇ」は、江戸の庶民が使っていた言葉で「おもしろい」と「おかしい」を合体させた造語。第4回から円四郎が使っていた江戸っ子を象徴する言葉だ。慶喜の側近として威厳のある佇まいを見せる円四郎であったが、やす(木村佳乃)の待つ家に帰るとごろんと寝転がり、いち庶民の顔に元どおり。栄一らの今後について話す「『うわぁ』っていったとこで『ドゥッ』ってあっさり斬られちまうのが落ちだ」というセリフは円四郎、そして演じる堤真一にしかハマらない、大河とは思えない珍妙な表現である。

 栄一が惇忠(田辺誠一)らと企てた横浜外国人居留地の焼き討ち計画は、京都から戻った長七郎(満島真之介)の涙ながらの訴えにより中止が下る。オンエア後の『青天を衝け 紀行』によれば、69人の同志が集まる中、時勢を知る長七郎の猛反対を受け、計画は断念されたという。

 栄一が商いの売り上げからくすねた金額はおよそ160両(現在の価値に換算すると1両=約13万円)。烏合の衆と言えど、尊王攘夷の志士と多額の金額が投資された暴挙を止めるほどの、必死な思いが当時の長七郎にはあったはずだ。犬死にとなってしまった河野顕三(福山翔大)のように、栄一らを死なせたくはないと悲痛な叫びを上げる長七郎。ぼろぼろと頬を伝う涙は、やがて言葉にならない嘆声へと変わっていく。

 押し黙る栄一たちに、隣の部屋で聞き耳を立てていた惇忠の妻・きせ(手塚真生)は耐えきれなくなり仲裁に入ろうとするが、栄一の伯母・やへ(手塚理美)に制止させられる。心の深い傷として残っていた誰にも言えずにいた長七郎の思いが叫びへと変わった、満島真之介の熱量が迸る名演だ。公式サイトのインタビューでは、満島の「台本を読み込むだけでは到底たどりつけなかった心の奥底から湧き上がる感情」、さらに本番後には自然と拍手が起こっていたことが明かされている。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる