光石研だけ別路線? 田口トモロヲ、松重豊ら『バイプレイヤーズ』俳優の若き頃を振り返る

光石研だけ別路線? 田口トモロヲ、松重豊ら『バイプレイヤーズ』俳優の若き頃を振り返る

 さらにその後も、三池崇史やSABUといった、シリアスな作品からユーモアが前面にあふれ出た作品まで得意とする監督たちの作品で強烈な印象を植え付けてくれる。田口といえばSABUの『弾丸ランナー』、遠藤といえば三池の『妖怪大戦争』での大天狗役はかなりのインパクトがあり、松重は矢口史靖の『アドレナリンドライブ』での不死身ぶりが作品のコメディ要素をとくに強める働きを見せている。要するに個性の強い俳優は、個性の強い作り手の作品でこそ輝くのであり、ユニークな作り手が育てられて初めて、優れたバイプレイヤーが生まれるのではないだろうか。

 そう考えると、ここまであげた“バイプレイヤーズ”のメンバーの中で光石だけは別路線を走ってきた印象だ。デビュー作の『博多っ子純情』でいきなり主演を張り、『セーラー服と機関銃』にも出演。順風満帆に見えたキャリアが伸び悩むなかで、脇役として様々な経験を重ねることにより、90年代にはピーター・グリナーウェイやテレンス・マリックといった海外の巨匠たちの作品に出演するチャンスを得る。他のメンバーと同じようにVシネマ時代はあったとはいえ、ダーティな雰囲気よりも『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)のような公務員役が実にさまになる。こうした “たたき上げ”タイプは演技者としての汎用性が高く、異なる魅力を携えているといえよう。

 現在公開されている『映画 バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら』は、先日まで放送されていたドラマ版のシーズン3から連なる物語が展開し、“バイプレイヤーズ”のメンバーに加えて役所広司や天海祐希といったスター俳優や、若手俳優たちもが一堂に会す。そこには岡山天音や濱田岳、柄本時生といった次代を担うであろうバイプレイヤーたちも集結。ピンクやVシネの衰退という映像業界の転換期を生き抜いてきた世代と、目まぐるしく映像メディアが移り変わるなかで伸びてきた世代の共演というのは、かなり興味深いものがある。

■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■公開情報
映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画をつくったら~』
全国公開中
出演:田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一、濱田岳、柄本時生、菜々緒、高杉真宙、芳根京子、有村架純、天海祐希、役所広司
監督:松居大悟
脚本:ふじきみつ彦、宮本武史
主題歌:Creepy Nuts「Who am I」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
配給:東宝映像事業部
制作プロダクション:スパークル
製作:「映画 バイプレイヤーズ」製作委員会
(c)2021「映画 バイプレイヤーズ」製作委員会
公式サイト:byplayers.jp
公式Twitter:@tx_byplayers
公式Instagram:@tx_byplayers
公式TikTok:@tx_byplayers
公式YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC22WkdCbQdRT1JEonHyqPAg

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