赤井秀一は劇場版でこそ輝く 『名探偵コナン 異次元の狙撃手』は最新作予習に打ってつけ

 劇場版第24作となる最新作『名探偵コナン 緋色の弾丸』が丸1年の延期を経て、ようやく公開された4月16日。そんな日に日本テレビ系『金曜ロードショー』で7年前公開の映画『名探偵コナン 異次元の狙撃手』が放送される。FBIの赤井秀一が劇場版に(事実上)初登場を果たす作品であり、赤井の妹である女子高生探偵の世良真純も登場するという点で、最新作との関係性が深く、予習作品としては打ってつけだ。

※本稿は『名探偵コナン 異次元の狙撃手』のネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。

名探偵コナン 異次元の狙撃手

 原作コミックの連載開始20年のアニバーサリーとして、この『異次元の狙撃手』の直前には『ルパン三世』とのコラボ映画『ルパン三世 VS 名探偵コナンTHE MOVIE』が公開。それが興収42.6億円の大ヒットとなった効果もあってか、本作はシリーズ初の興行収入40億円を突破。第1作から18作品中14作で脚本を手掛けた古内一成の最後の作品であり、シリーズの急成長期を支えた静野孔文監督の4作目。そして一昨年の『名探偵コナン 紺青の拳』と最新作でメガホンを取る永岡智佳が演出に参加した2作目と、まさに改革期のまっただなかの作品ともいえるだろう。

 物語は鈴木財閥が手掛けたベルツリータワーの開業セレモニーに参加したコナンたちの前で、狙撃事件が起きることから幕を開ける。世良真純のサポートもあって犯人を追跡するコナンだったが、寸前のところで取り逃がしてしまう。しかし、すぐさまFBIは元ネイビーシールズ隊員のハンターという男を最重要容疑者として浮上させるのだが、その後も立て続けに狙撃事件が発生。しかもハンター自身がその犠牲者となり、事件は暗礁へと乗り上げてしまうのである。

 言わずもがな、劇中に登場するベルツリータワーのモデルとなっているのは東京スカイツリーである。2012年の初夏に開業した同施設が2014年のゴールデンウィーク公開の本作の舞台になるというのはワンテンポ遅れた印象を受けなくもないが、製作の流れを汲めば致し方あるまい。もともとコナンの劇場版シリーズでは、実在の建造物や実在のイベント(『緋色の弾丸』で描かれるスポーツの祭典がオリンピックを想起させるように)が物語のキーとなるのは定番だ。『紺青の拳』ではシンガポールのマリーナベイ・サンズが実名で登場し、『名探偵コナン 漆黒の追跡者』における東都タワーはまぎれもなく東京タワーであるわけだ。

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