綾野剛が恋愛作品で見せる表情に注目 『恋はDeepに』は“普通のラブコメ”じゃない!?
愛おしそうに大切なものを慈しむ眼差しに不意に遭遇してしまった時、その先にあるものが自分も大切に想っている対象ならばなおのこと、相手のことが気になり、恋に落ちるのなんていとも簡単な話だ。むしろ、そんな偶然こそを“運命の出会い”と呼ぶのだろう。
まさに『恋はDeepに』(日本テレビ系、以後『恋ぷに』)での、主人公2人の出会いだ。ただし、今回の2人は一筋縄にはいかない。海を愛し海洋生物を守ろうとする海洋学者・渚海音(石原さとみ)と、マリンリゾート開発に全てを懸けるツンデレ御曹司・蓮田倫太郎(綾野剛)という、正反対の立場をとる者同士。倫太郎の兄・光太郎(大谷亮平)が言う通り「矛と盾」のような関係性だ。
初めて見かけた倫太郎は、テレビ局にある水槽越しに魚たちをとても大切そうに眺める優しげな視線が印象的だったのに、リゾート開発チームのアドバイザーとして招かれ再会を果たした際には、海音の“海洋生物に悪影響を及ぼしてしまいかねない”と必死に訴える言葉に全く聞く耳を持たず、にわかには同一人物だと信じ難いほどだ。むしろ、後者の倫太郎の方が“通常モード”で、前者は“ほんの一瞬”彼が見せた童心に返った表情だったことがほどなくしてわかるわけだが、これまた“ラブコメ”を描く上で憎い演出だ。敵対するはずの相手なのに、その相手の“矛盾する”一面を先に知ってしまうのだ。しかも、“自分だけが”だ。
しかし、どうやら彼にも“海”にまつわる“家族”の秘密、トラウマのような過去(おそらく母親に関する何か)があるようで、それが倫太郎の強引にも見えるリゾート開発推進の裏に隠された原動力なのかもしれない。
綾野剛といえば、昨年放送の刑事ドラマ『MIU404』(TBS系)、同じく刑事役を演じた映画『ドクター・デスの遺産―BLACK FILE―』、さらに『ヤクザと家族 The Family』、現在公開中の『ホムンクルス』と、怒涛の主演作公開ラッシュを見せているが、そんな中でも恋愛作品への出演は久々で、本作の情報解禁時から話題を集めていた。