塚地武雅、『おちょやん』に漫才師・花車当郎役で登場 プロがもたらす“笑い”

塚地武雅、『おちょやん』に漫才師・花車当郎役で登場 プロがもたらす“笑い”

 福助(松本和真)が出征し、岡安は約60年に渡り続いた歴史に幕を下ろす。連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合)第83回では、空襲警報で防空壕に逃げ込んだ千代(杉咲花)が花車当郎(塚地武雅)と出会う。

 シズ(篠原涼子)はついに岡安を閉めることに。最後にこれまでお茶子を務めてきた富士子(土居志央梨)、節子(仁村紗和)、玉(古谷ちさ)にそれぞれ声を掛ける。お茶子たちのことをよく見てきたシズだからこその言葉の重みが心に響く。さらにシズは「芝居茶屋に湿っぽいのは似合えへん」とお茶子たちをさっさと追い出すと、岡安が終わっていくことへの寂しさと安堵の重なった表情を浮かべた。

 戦況はどんどん悪くなり、芝居をめぐる環境は大きく変化していく。えびす座、鶴亀座の閉鎖により道頓堀はすっかり灯を絶やし、鶴亀家庭劇は小さな芝居小屋を転々とするほかなかった。そんな中で百久利(坂口涼太郎)も出征することに。徐々に戦争への不安が募る中、空襲警報が鳴り響いた。慌てて防空壕に避難した千代と一平(成田凌)は、しゃべくり漫才師の花車当郎と居合わせる。しゃべくり漫才といえば話芸のみで成立させる漫才のこと。千代は当郎と即興で漫才のような掛け合いを披露し、防空壕の中に笑顔を生み出した。ここでも千代は芝居や笑いの重要性を強く感じる事になる。だが一平はとうとう鶴亀家庭劇に解散を告げる。

 千代がやりたいことに対して貪欲に気持ちをぶつけ、多くの人に助けられながら前に進む一方で、思慮深い一平は自分の中で物事を思案する。なかなか想いを口に出せず、神妙な面持ちで千代に何か言いたげな表情を浮かべるのだ。自分が家庭劇を続けると言ったらそれを肯定してほしいなどと言っていた一平。出征する友人や劇団員の姿を見ながら、自分のやっていることに疑問を感じ始めているのだろうか。千代が防空壕で改めて「笑うこと」の力を感じている最中、一平は同じ方向を向けていないのではないかとも感じた。

 千代が防空壕で出会った漫才師・花車当郎を演じたのはお笑いコンビ、ドランクドラゴンの塚地武雅。本職の「笑い」のプロを演じる塚地は、さすがの間と抑揚で話芸に長けた掛け合いを演じた。そしてこの人物のモデルとなるのは後に横山エンタツとコンビを組むことになる花菱アチャコであろう。俳優としても高く評価される塚地演じる当郎が、これからどんな笑いを見せてくれるのかにも注目したい。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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