『ボス恋』中沢、『知ってるワイフ』津山ら、1月クールドラマで目立った“2番手”の存在

1月クールドラマで目立った“2番手”の存在

 今クールの中で異色とも言えるのが『きみセカ』での等々力だ。2番手キャラの多くは恋愛ドラマに登場し、恋する相手との間でヒロインの気持ちを揺らがせる存在となる。だが本作はゾンビアクションドラマ。迫り来るゾンビの恐怖と恋愛という二重のドキドキを与えてくれる作品だ。さらに物語もかなり過激で、響(竹内涼真)自らが大切な彼女である来美(中条あやみ)を弓で射抜いたかと思えば、その後、復活した来美が銃を手にする凄まじさ。そして、この2人の間に位置する人物こそが等々力なのだ。かつての響と来美の同級生でもあり、2人がすれ違っているときに、来美を側で守ろうとしてきた等々力こそ、2番手キャラとして重要な“気付いたら側にいた”キャラクターでもある。だが、まずは過酷な世界でどうか生きながらえてほしい。

 そして、特に個性が際立ったのが『ウチカレ』の渉だろう。元々は空(浜辺美波)の本命の相手であり、空が好きだと“思い込んでいた”相手である。しかし物語が進むにつれ、空の本当の心は光の元に。例えそれがはっきりした恋でなくとも、空にとっての“大切な相手”はいつの間にか渉ではなくなってしまった。目を引くほど高身長な渉が、一生懸命小さなスワンボートに入って漕ぐシーンや、空が悩んでいる時にはそっとサポートする姿勢など、2番手キャラとしては王道の優しさを持つ渉。しかし一方で、初恋の相手が忘れられず、最初は空とも恋を始める気がなかったなどピュアすぎるゆえのエピソードや、偶然空の本当の父親と会ったことで空のプライベートな悩みをあっさり解決に導くなど、不思議な力を持つキャラクターでもある。

 他にも『おちょやん』(NHK総合)の小暮(若葉竜也)など温かい人間性でヒロインをサポートしようとした素晴らしい2番手キャラが多数存在した。上記の中でも特に筆者が評価したいベストキャラクターは、やはり『知ってるワイフ』の津山である。松下の熱い芝居はもちろん、津山というキャラクターのスマートな誘い方、スマートなアプローチは実に爽やか。さらに余計な強引さもなく、程よい距離感で澪を見守っていた点でも評価できる。そして番外編として『君と世界が終わる日に』の等々力にも賞賛を送りたい。ゾンビと隣り合わせの命懸けの日々の中でヒロインを守るという点においては、誰よりも男気溢れた2番手キャラだったと言えるだろう。さて、読者の方にとってのベスト2番手は誰だろうか? 魅力的な2番手キャラが活躍した1月クールを振り返って考えてみてほしい。

 終焉を迎えた恋もあれば、まだまだ未来はわからないという恋もある1月クールドラマ。主人公ではない彼らたちが、真摯かつ誠意を持ってヒロインを想うその姿勢に、心からの称賛を送りたい。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■配信情報
『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』
Tver、Paraviにて配信中
出演:上白石萌音、菜々緒、玉森裕太、間宮祥太朗、久保田紗友、亜生(ミキ)、秋山ゆずき、太田夢莉、高橋メアリージュン、なだぎ武、高橋ひとみ、倉科カナ、ユースケ・サンタマリア
脚本:田辺茂範
演出:田中健太、石井康晴、山本剛義
プロデューサー:松本明子
編成:宮崎真佐子
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

『知ってるワイフ』
Tver、FODにて配信中 
出演:大倉忠義、広瀬アリス、松下洸平、川栄李奈、森田甘路、末澤誠也(Aぇ!group/ジャニーズJr.)、佐野ひなこ、安藤ニコ、マギー、猫背椿、おかやまはじめ、瀧本美織、生瀬勝久、片平なぎさ、
脚本:橋部敦子
編成企画:狩野雄太
プロデュース:貸川聡子
演出:土方政人、山内大典、木村真人
音楽:河野伸
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
(c)フジテレビ

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