『アノニマス』香取慎吾とシム・ウンギョンが対峙 “SNSにおける正義”を考えるきっかけに

香取慎吾と“アノニマス”の対峙が示すもの

ネットの可能性を握るのは、私たち

 万丞とアノニマス(倉木)の真っ向勝負は、対面vsネットの投影でもある。圧倒的な優位に絶つのは、今の時代どうしたってネットだ。コツコツと足を使って集める情報にくらべて、1つのツイートで寄せられる情報の方が圧倒的に多い。今やネットで、どんな情報でも手に入るのではないかと錯覚しそうになるほど。

 しかし実際には、ネット上やデータベースにアップされていない真実が、たくさんあるということ。権力を持ってねじ伏せられた事実が、墓場まで持っていこうとした覚悟の思いが、この人にならと託すことができる本音が……そして、アップするほどでもない小さな幸せが、私たちの生活には渦巻いているのだから。

 対面がネットでは知り得ない真実を見つけ出せるように、一方でネットが対面以上の温かみを生むこともある。オンエア時には「#アノニマス最終回」がTwitterのトレンド入りを果たしていた。プラスにも、マイナスにも、爆発的な影響力を持つネットと、私たちはどう向き合っていくべきか。主演の香取自身の呼びかけもあり、多くの人がこのドラマを見て、改めてSNSにおける正義について考えることができたのではないか。

 倉木は「私は諦めません。ネットの未来には、その可能性がある。私は、私なりの正義を探し続けます」と言い残して姿を消す。それを聞いていた万丞も「俺も、俺なりの正義を探し続けるよ」とつぶやく。

 倉木も万丞も同じように傷を負った。それは、対面とネットがどちらかを打ち負かすのではなく、新しいテクノロジーを前に摩擦を生じながらも、「何が正義か」を絶えず模索していくことを表しているのだろう。

 その模索が続く限り、アノニマスは何度でも生まれる。願わくば、このドラマが抑止力となって指殺人のない世の中になってほしい。もちろん、ドラマの続編となれば大歓迎だが。

■放送情報
『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』
動画配信サービス「Paravi」「ひかりTV」にて配信
出演:香取慎吾、関水渚、MEGUMI、清水尋也、山本耕史 シム・ウンギョン(特別出演)、勝村政信ほか
監督:及川拓郎、湯浅弘章、大内隆弘
脚本:小峯裕之、玉田真也、入江信吾
音楽:山下宏明、丸橋光太郎
主題歌:香取慎吾「Anonymous (feat.WONK)」(WARNER MUSIC JAPAN)
オープニングテーマ:アイナ・ジ・エンド「誰誰誰」(avex trax)
チーフプロデューサー:阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー:濱谷晃一(テレビ東京)、北川俊樹(テレビ東京)、合田知弘(テレビ東京)、稲垣護、佐藤満、高橋潤
制作:テレビ東京/ギークピクチュアズ
制作協力:ギークサイト
製作著作:「アノニマス」製作委員会
(c)「アノニマス」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/anonymous/
公式Twitter:@txdrm_anonymous
公式Instagram:txdrm_anonymous
公式アメーバブログ:https://ameblo.jp/anonymousblog/

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