『鬼滅の刃』遊郭編、音柱・宇髄天元の活躍やいかに 視聴者と作り手の理想的な関係性とは
昨年10月に全国の映画館で公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2020年/以下『無限列車編』)の上映が今なお続く中、去る2月14日に『鬼滅の刃』遊郭編(以下『遊郭編』)の制作が発表された。『無限列車編』がメガヒット級の興行成績だけに、そこから続く物語のアニメ化は確実視されていたものの、続編の形態がテレビアニメになるか、あるいは映画用アニメになるのかは、ファンの間でも意見が分かれるところであった。結果的には2019年に放送された『鬼滅の刃』(全26話)の第2期という形でテレビアニメとなったが、「2021年 TVアニメ化決定」と報じられたのみで、具体的な開始時期は不明だ。
『無限列車編』は、主人公・竈門炭治郎が炎柱の煉獄杏寿郎と合流して、走行中の列車内に巣くう鬼を退治する話で、この映画で本格的な活躍を見せる杏寿郎のキャラクター性が観客の注目を集めた。テレビシリーズでは第23話「柱合会議」と、第24話「機能回復訓練」の冒頭部分しか出番がなかった杏寿郎だが、『無限列車編』では彼の思想や過去などを掘り下げ、さらに鬼組織の中で最強のグループと謳われる十二鬼月の”上弦の参“との壮絶な一騎打ちも見どころとなった。何しろテレビアニメも原作コミックスも未見のまま、『無限列車編』で初めて『鬼滅の刃』の世界に触れた観客ですら、杏寿郎のファンになってしまうほどの濃いドラマが展開するのだから、彼がいかに魅力的に描かれていたかがうかがえる。
そこで俄然、注目が高まるのは『遊郭編』のティザービジュアルに登場した音柱・宇髄天元のキャラクターだ。『遊郭編』は原作コミックスの第8巻から第11巻にかけて展開する長めのエピソードで、天元の嫁が潜入捜査のために遊郭へ行ったまま消息を絶ち、その捜索隊として炭治郎と善逸、伊之助を連れた天元が現場へ向かうといった内容。第2期制作決定のニュースと共に公開されたPVでは、高所から夜の吉原を一望する天元の姿と、遊女たちの姿が見られる。天元もまた、テレビシリーズでは第23話のみしか台詞付きの出番がなく、「派手に○○」という口癖があるという以外には、アニメ視聴組には人物像が掴めていない。
宇髄天元の声を担当する声優の小西克幸は、これまでも『BEM』(2019年)のベム、『アルテ』(2020年)のレオ、『デカダンス』(2020年)のカブラギなど、年長の頼れる師匠、先輩キャラを演じることが多い。スポーツアニメ『あひるの空』(2019年)の千秋のような、日頃はルーズでだらしないが、ここ一番の勝負には男気を見せる瞬発力のある役柄も上手い。天元もご多分に漏れず、炭治郎たちが絶句するほどの変わった性格の持ち主だが、その技と実力がどのように描かれるか期待が膨らむ。