竹内涼真演じる響が背負った十字架 『君と世界が終わる日に』が示す原罪の構図
たった一度ついた嘘が運命の歯車を狂わせ、気が付けば引き返せない場所にいる。『君と世界が終わる日に』(日本テレビ系)第5話は、登場人物それぞれが自分の中の何かを失う回だった(以下、ネタバレを含む)。
前回、響(竹内涼真)たちに去られてしまった等々力(笠松将)。その姿は横須賀駐屯地にあった。再会した来美(中条あやみ)に響(竹内涼真)の安否を尋ねられ、等々力はとっさに「間宮響は死んだ」と答える。その頃、響とミンジュン(キム・ジェヒョン)は病院にいた。結月(横溝菜帆)の喘息の薬を探す途中で、封鎖区域外からやってきた記者の狛江(長谷川朝晴)と出会う。「妻と娘を探しに来た」と話す狛江は、紹子(安藤玉恵)と結月の写真を取り出した。
真実らしく語られた嘘は、他人を巻き込んで予想外の行動に駆り立てる。響が死んだと聞いて茫然自失となった来美は、愛奈(新津ちせ)を守れなかった罪悪感から、ワクチン開発の被験者に名乗り出る。狛江の言葉を信じた響は紹子たちの居場所を教えるが、さらなる悲劇を招く結果となった。
等々力と狛江がついた嘘は、小さな意地とエゴの産物だ。生きるか死ぬかの瀬戸際で嫉妬心をあらわにし、男としてのプライドにこだわる2人。嘘をついてまでと思うかもしれないが、生死のかかった状況で、メンツを守るために必死になる姿はリアルだった。ただしそれを相手がどう思うかは別の問題。狛江は返り血のついた船に乗ってゴーレムに襲われてしまう。そうなるように仕組んだのは、狛江が愛情を注いだ当人だった。
かつての家族がバラバラになる光景も、繰り返し描かれる。響は来美との再会を諦め、先を急ぐ。ミンジュンはジアン(玄理)と対面するが、「ヌナー(姉さん)」との間には越えられない一線があった。狛江とかつての家族の絆は元に戻らなかった。