藤原竜也と吉田鋼太郎の白熱のバトルは必見! 『カイジ ファイナルゲーム』の悪魔的な魅力

『カイジ ファイナルゲーム』の悪魔的な魅力

 「命がけ」と入力すると「命賭け」と誤変換されてしまうことがある。「命懸け」が正しいが、少なくとも『カイジ』では間違いとは言えない。2月12日21時から日本テレビ系『金曜ロードSHOW!』で地上波初放送される『カイジ ファイナルゲーム』では、文字通り命賭けのマネーバトルが繰り広げられる。

 『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009年)、『カイジ2 人生奪回ゲーム』(2011年)の続編となる『カイジ ファイナルゲーム』は2020年1月に公開。原作者の福本伸行みずから脚本を手掛けたオリジナルストーリーによる最新作は、興行収入20億円を超え、前2作に続く大ヒットを記録した。

 スリルを生み出すのは何だろうか? 絶体絶命の状況、未知の体験、生きるか死ぬかのサバイバル。ギャンブルにはそれらすべてが詰まっている。『人生逆転ゲーム』の鉄骨渡りとEカード、『人生奪回ゲーム』のパチンコ「沼」に続いて、『ファイナルゲーム』でも数々の独創的なギャンブル/ゲームが登場する。

 命賭けのゲームに挑むカイジこと伊藤開司を演じるのは藤原竜也。ギャンブル中毒のカイジは土壇場になると神がかった勝負勘を発揮するが、普段は底辺生活を送るフリーターで、人としての良心を捨てていないことだけが取り柄という男。特徴的な画風で知られる原作の主人公に藤原が生気を吹き込んだ。

 『人生逆転ゲーム』公開当時、藤原は27歳。蜷川幸雄に見出された早熟の天才俳優は、18歳で映画『バトル・ロワイアル』、19歳で連続ドラマの主演を務めるなど、すでに役者としての地位を確立していた。その藤原にとって代表作と呼べる作品が『カイジ』である。舞台俳優としてのフィジカルと映像的な直感を兼ね備えた演技、感情の振幅と一点に向かう集中力、身の周りにいると思わせるコミカルな人物造形。藤原竜也という俳優の存在を抜きにして、映画版『カイジ』シリーズの成功はなかった。

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