『おちょやん』一平の言葉の真意は? 新しい一座の結成に大きな壁

『おちょやん』一平の言葉の真意は?

 一平(成田凌)を座長とする新しい一座の結成に向け、千代(杉咲花)は動き出す。連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合)の第43話では、千代の奮闘虚しく、新たな壁が立ちはだかる。

 一平が書いた台本に心打たれた天晴(渋谷天笑)は一座に参加することを決意。まさに「雨降って地固まる」と言う天晴の言葉通り、一座の面々の心は徐々に一つになろうとしていた。岡安でも、「ぼん(一平)や一座の成功はこの岡安の悲願」と期待を投げかけられる。

 次に、千代と天晴は須賀廼家万太郎一座に入ろうとする徳利(大塚宣幸)を呼び戻しに。徳利は万太郎一座の端役たちからひどい嫌がらせを受け、殴り合いの喧嘩になっていた。そこで千代は、お茶子の頃から知っている徳利の好物や、大好きなビールを振る舞って口説き落とすのだった。こうして徳利もまた、一平の一座に合流することになる。これで残るは千之助(星田英利)を笑わせ、呼び戻すだけとなった。

 しかしここで一平が、漆原要二郎(大川良太郎)にまさかの言葉をかける。「あなたには辞めてもらいます」と一座を退くことを言い渡したのだ。一平の言葉の裏にはどんな想いが隠されているのか。

 一座がバラバラになる心痛む展開を、まるで「喜劇」のように描く第43話。派手に転んだり、激しいツッコミを入れるなど誇張した表現で物語を描くことで『おちょやん』の世界はしみったれた空気を吹き飛ばし、新たな未来を築こうとしているのだ。

 そこで重要になるテンポ感を、千代を演じる杉咲花は心得ている。千代が、千之助を笑わせるために披露した「タコ入道」や「失神する猫」がすべりまくっているのとは裏腹に、徳利を呼び戻すために見せる一平や天晴との掛け合いは思わず笑ってしまうような喜劇仕立て。また、大きな男性俳優の中でツッコミ役として小さな身体で声を張る威勢の良さもまた、杉咲のパワフルさをよく表しており、確かな実力を感じさせる。

 やっと集りつつある一座の面々だったが、一平の鶴の一声で事態はまた一波乱起きそうな不穏な空気に。まだ千之助も戻っていないのに漆原を失うことになったら、一座はどうなってしまうのか。一平の言葉の真意が気になる。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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