『ボス恋』上白石萌音と玉森裕太のラストは“名物”に!? 菜々緒は編集長役で存在感を発揮
幼少期から成績優秀で父親の期待に応えたい一心で頑張ってきた編集長と、その反面幼少期から天真爛漫な潤之介。しかし、今ではどういう訳か麗子の方が長らく帰省しておらず、このままいけば潤之介が実家を継ぐことになりそうだ。一体何があってこの逆転現象が起きたのか。
そして、麗子が出版社に身を置いている理由は自身も既定路線から外れた中「新しい夢」を掴み、育みたいと思っているのではないだろうか。あれほどまでに完全無欠に見える彼女も、もしかすると夢を模索しながら追いかけている途中にあるのかもしれない。
また、誰の前でも顔色一つ変えず表情が全く読めない編集長の顔に緊張や戸惑いが走る瞬間が唯一ある。副社長の宇賀神(ユースケ・サンタマリア)の前に出たときだ。麗子のことをヘッドハントしたのが副社長らしいが、それ以上に何かあるのか、こちらも気になるところだ。
それにしても、菜々緒は元々そのあまりに隙のない完璧なルックスからドSキャラを得意としてきたが、本作ではより磨きがかかり、一切顔色が読み取れない、何を考えているのか、本心がどこにあるのか徹底して周囲に悟られないという、単に仏頂面をしているだけでは到底務まらないかなり難しい役どころを完全に自分のモノにしている。
キャラ上、オーバーリアクションもできない、表情のバリエーションもそんなに出せない中で、副社長の前でだけ見せる動揺や強張りを一瞬の小さな動きの連続で見せているのもお見事である。
さて、主人公の鈴木奈未(上白石萌音)を巡るメンズの気持ちに変化があったのも今話。しかも潤之介だけでなく、なんと最初は「雑用係」と言って奈未のことを馬鹿にしていた中沢まで。一方はボツになった原稿、しかも自身の贔屓目や思い入れが強いがあまりに偏りが出てしまったインタビュー記事を「編集者のこだわりが詰まった素敵な原稿です」と瀬尾本人の前に並べて「見てほしい」と言ってくれた奈未に。もう一方は、多くの人が自分の実家などのバックに目が眩んで、目の前の自身の写真を純粋に楽しんでくれることもなく「現代社会の孤独を感じる」なんていう杓子定規な表面的な感想しか並べ立てられない中で、「タダのセミの抜け殻」と笑い飛ばしてくれた奈未に。「潤之介さんの写真ってちゃんとしてなくて変」と率直な感想を、ただただ見たまま感じたままのコメントをしながら面白がってくれる奈未に。
毎話、ラストに潤之介が奈未と視聴者に余韻を残していくのがもはや『ボス恋』名物だが、今回の降りしきる雪の中での急な展開はこれまでとは違って“気まぐれ”ではない彼の本気の心情を感じさせた。
早速、次回予告でも流れた通りこの三角関係を巡るシーンが盛り込まれているようで、次話では恋愛模様のさらなる加速が期待できそうだ。
■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter
■放送情報
火曜ドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:上白石萌音、菜々緒、玉森裕太、間宮祥太朗、久保田紗友、亜生(ミキ)、秋山ゆずき、太田夢莉、高橋メアリージュン、なだぎ武、高橋ひとみ、倉科カナ、ユースケ・サンタマリア
脚本:田辺茂範
演出:田中健太、石井康晴、山本剛義
プロデューサー:松本明子
編成:宮崎真佐子
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS