永山瑛太が語る、“永山瑛太”としての2020年 「僕にできることは、俳優の仕事」

永山瑛太が語る永山瑛太としての2020年

「チャレンジする作業が、生きていく上で絶対的な条件」

——今回、楽しみました? 

永山:そうですね。最近は、コロナ禍があっていろいろ大変な世の中じゃないですか。そんななか、京都で撮影して(撮影は9月に行われた)、京都を舞台にした作品を多く手掛け、京都が好きで、知識も豊富な源孝志監督にいろいろ教えていただきながら、京都の町、京都の自然、人、スタッフの方々とすごく心地よく過ごせました。京都も、コロナのことで大変であるというお話ももちろんたくさん聞きましたけれど、それでも、みんなで気をつけながら、日本の方々にこの作品を観ていただいて、新しい年を迎えたときに少しでも気分が良くなるような時間を過ごしていただけるような作品になるように、精進して撮影しながら……精進料理を食べてました(笑)。

——「永山瑛太」という名前にされて1年。ちょうどコロナ禍の1年と重なりましたが、振り返ってみてこの1年は俳優としていかがでしたか?

永山:いろいろ考えることはありました。そんななかで、自分のために生きることが第一とはいえ、やはり、人のためになにかしたいという想いが強くなってきて、僕にできることは、俳優の仕事を通してなんだと改めて感じました。そのきっかけは、リモートドラマ『Living』に出たことです。自粛期間中、身内だったら共演できるということで、初めて兄弟(弟の永山絢斗)で共演して、楽しかったですし、演じていないと自分の精神衛生上よくないんだな、ということを再確認したんです。だから、これからももっとがんばる、ということじゃないんですけど……。僕は、多趣味で、どれも中途半端になりがちではありますが(笑)、演じることは、その多趣味なことを活かせる場だと思うんです。自分自身ということよりも、その作品や役柄のために、どうすることがベストであるか考え、現場でチャレンジする作業が、自分にとって生きていく上で絶対的な条件であると気づくことができました。

——その思いに、今回のドラマはかなりフィットしたと考えてよろしいでしょうか。

永山:そうですね。時代劇に参加する場合、現代劇以上に気合い入れないといけないんです。だから、時代劇をやる前はいつも『また大変な時間が来るぞ……』と覚悟するのですが、『ライジング若冲』をやって時代劇のおもしろさにさらに気づくことができました。『闇の歯車』(時代劇専門チャンネル)に出たとき、皆さんが大河ドラマにハマるのは、やはり日本の文化というか過去にさかのぼっていったものをもう一回観てみたい想いがあるのだろうなあと強く感じたんです。『ライジング若冲』でも同様のことを感じました。つまり、歴史上の人物を演じていると、その時代の人が感じた気持ちを体感し、日本のすばらしさを実感できるんです。視聴者の皆さんにも、僕が感じた、歴史上の人物の日本への想いが伝わるとうれしいです。

——男性同士の友情とも愛情ともつかない部分を演じてみていかがでしたか?

永山:大典と若冲には性別の垣根がなくなってしまっているんですよね。大典は若冲と出会って「この人を絶対につかんで離したくない」と思うわけですが、「この人を世に送り出したい」という強い気持ちを表すとき、心のなかで静かに強く思っているだけでもいいし、肉体が激しく動いていってもいい。だったら、視聴者の方から見て、俗に言うBLなんじゃないかと思っていただいてもおもしろいと考え、台本のト書きには「手を強く握る」しか書いてなかったのですが、押し倒してしまうんじゃないか? ぐらいの勢いで間合いを詰めてみたこともあります。あえてものすごく顔を近づけて、くちびるとくちびるがくっつくんじゃないか? みたいな距離感にしたら、監督が「やりすぎかな」と言って撮り直しになりましたが(笑)。実際、2人がそういうことをしたか、というのは史実ではもちろんわからないですが、視聴者の皆さんがドキドキするような芝居のプランをチャレンジできる限りしました。これまで、心の中で通じ合ってる、というような設定は演じたことありますが、男性の俳優と、ここまで身体的に触れ合う役を演じることは初めてで、正直、女優さんと共演するときよりも手汗がすごかったです。七之助さんに悪いな、と気になるくらい、手のひらがビッショビショになってました(笑)。緊張はしてないんですけど、七之助さんの手を握ったとき、そのなめらかさに、すごいな……みたいな(笑)。

■放送情報
正月時代劇『ライジング若冲 天才 かく覚醒せり』
NHK総合/BS4Kにて、2021年1月2日(土)放送
後日、BSプレミアムでも特別編放送予定
作・演出:源孝志
音楽:阿部海太郎
出演:中村七之助、永山瑛太、中川大志、大東駿介、門脇麦、渡辺大、市川猿弥、木村祐一、加藤虎ノ介、永島敏行、石橋蓮司
写真提供=NHK

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