『おちょやん』父・テルヲ再登場に嫌な予感? トータス松本が絶妙なバランスで演じる

『おちょやん』父・テルヲ再登場に嫌な予感? トータス松本が絶妙なバランスで演じる

 鶴亀撮影所に来てから3年が経った千代(杉咲花)の前に、父テルヲ(トータス松本)が突然訪ねて来る。NHKの連続テレビ小説『おちょやん』が第8週初日を迎え、千代にとって憎みきれないトラブルメーカーであるテルヲの存在感が伝わる回となった。

 千代の前に現れたテルヲを見て、嫌な予感がした視聴者は少なくないはずだ。それぐらい、トータス松本演じるテルヲの“ひどい父親”ぶりは一貫している。自分の都合で幼い千代を奉公に出し、千代に何も告げることなく夜逃げし、かと思えば、借金返済のために千代を別の店に奉公に出そうとする。ここまで自分勝手な人物だと、登場だけで不穏な空気が流れてしまうのも無理はない。

 テルヲは千代に会うために、自分のことを「ヨシヲ」と名乗った。弟思いな千代の性格を分かった上で騙ったのだろう。テルヲはそのことを悪びれる様子もなく人懐っこい笑顔で千代の名を呼ぶ。

 京都には千代たち家族の事情を知る者はいない。声を荒げてテルヲを追い出そうとする千代を守屋(渋谷天外)は「邪けんなこと言うもんやないで」となだめ、「カフェー・キネマ」では宮元(西村和彦)が「男手一つで千代ちゃんをよう育てた」と彼を讃えていた。テルヲの仕打ちを知っている身としては、周囲の人々に愛想良く振る舞うテルヲにもどかしさを感じる。しかし皮肉にも、千代の“口が達者”な姿は父譲りだと気づかされ、父を放っておけず、下唇を噛みながらも面倒を見る千代の姿から、親子関係の複雑さを思い知らされた。

 トータス松本の演技は“憎めない”と“腹立たしい”の間にある。公式Twitterの【撮影裏話 #トータス松本 さんのテルヲ語り】にトータスのコメントで「第8週に出てくるテルヲは、ちょっとかわいいねん」とあるが、確かに千代とつながりを持とうとするテルヲの必死に懇願したりしょぼくれたりする姿は愛嬌がある。それにより、どうせ嘘なのに「もしかしたら…」と期待させるので、本当に意地が悪い。「歴代朝ドラでトップレベルのダメ親父」という称号は、“人たらし”と“人でなし”を絶妙なバランスで演じるトータス松本のおかげだと考える。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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